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クリック率が高くても予約0件:自治体のSNS広告で「成果が出た」とは何を意味するのか

8月25日
読了時間: 16分

更新日:9月20日

沖縄県が公開している令和4年度「離島デジタル広報・販売スキル向上事業」実施報告書には、110事業者の配信目的、遷移先、ターゲット、広告結果、改善内容、振り返りが個別に残されています。SNS広告配信だけでも5分冊、117ページあります。


ここで見たいのは、個別事業者や受託者の良し悪しではありません。広告成果、販売成果、将来成果、能力形成を、公共事業の中でどう分けて読むかです。


この事業では、SNS広告が単なる販売施策ではなく、事業者が少額配信を2回経験し、1回目の結果を踏まえて2回目を改善する実地訓練としても設計されています。ここが、この事業を広告成果だけで読めない理由です。


ただ、CTR、CPC、保存、フォロワー増、予約・売上、学習意欲を同じ「成果」で束ねると、何が達成され、何が未達だったのかが分からなくなります。CTRが高ければ、広告から遷移先へ人を運ぶ入口は機能したと言えます。しかし予約0件なら、直接販売成果は0件です。将来予約は仮説であり、能力形成は別の測定を必要とします。


必要なのは、どれか一つだけを真の成果と決めることではありません。商業成果、媒体の中間成果、将来成果、能力形成、公共価値、費用を分け、その後で統合して判断することです。


まず、「広告が良かった」と「事業が良かった」を分ける

同じ数値でも、評価する対象によって意味が変わります。


評価対象

主な問い

例

広告評価

配信は目的に対して効率的だったか

CTR、CPC、予約、売上、広告費

事業者評価

支援を受けた事業者の状態は改善したか

販路、粗利、顧客、発信能力、自走

事業評価

支援プログラム全体は有効だったか

参画、掲載、販売、能力形成、費用対効果

政策評価

離島振興という公共目的に寄与したか

支援の追加性、地域間公正性、持続性

広告のCTRが高くても、予約がなければ直接販売広告としては未達です。しかし、事業者が広告管理画面を読めるようになり、その後に自費で改善運用できるなら、能力形成事業としては成果があり得ます。また、採算だけでは民間支援が届きにくい小規模離島へ機会を提供したなら、公共価値も残ります。


逆に、売上が発生しても、受託者がすべて運用し、事業者に何も残らなければ「スキル向上」という目的は達成していない可能性があります。


このため、「売れたか」「クリックされたか」「学んだか」のどれか一つで事業全体を採点することはできません。



広告配信そのものが、研修の実習でもあった

第4章「SNS広告配信」その1によれば、事業者ごとに広告を2回配信し、配信後にレポートを共有して、見方と改善を学ぶ設計でした(p.76)。


  • 1回目:2万円(税別)

  • 2回目:4万円(税別)

  • 1回目:SNS広告の全体像を理解する

  • 2回目:PDCAを踏まえた効果測定を経験する

  • 各回:ターゲット設定、広告画像、配信前確認、14日間の配信、結果のフィードバック


広告施策だけを見れば、2回目の予算を増やす理由には疑問が生じます。予算が2倍になれば、クリックやリーチが増えるのは自然だからです。しかし、研修設計として見れば合理性があります。1回目を小さな試行とし、結果を読んだ後に、より大きな2回目を自らの改善仮説で実施するためです。


ただし、この設計は厳密なA/Bテストではありません。多くの案件で、2回目には次の要素が同時に変わっています。


  • 広告予算

  • 配信時期

  • ターゲット年代・地域・興味関心

  • 広告画像・文章

  • 掲載商品

  • 遷移先

  • 在庫・予約可能枠


結果が改善しても、どの変更が寄与したかを一意に特定できません。ここで得られるのは、特定要因の因果効果というより、現場で仮説を立てて改善する経験と、次の検証候補です。


この区別は重要です。実習として優れた設計であることと、広告効果の因果検証として厳密であることは同義ではありません。



クリック率が高くても、予約0件は予約0件である

報告書には、媒体指標が良好でも予約・販売が発生しなかった案件が複数記録されています。


事例

広告目的

確認できた結果

報告書上の評価

種水土花

認知度拡大

販売0件、Instagramフォロワー190人増、FacebookのCPC約5円、保存22件→30件

効率がよく、ターゲットに刺さる配信

HYマリン

販売実績獲得

予約0件、CTR3.3%→2.8%、保存20件→23件

ターゲットに合った配信、SNS活用意欲の向上

Luana

販売実績獲得

予約0件、1回目CTR約3%、保存14件→5件

今後の予約に期待

本原畳店

販売実績獲得

販売0件、CTR2.18%→3.10%、保存40件→107件

ターゲット層へ配信でき、今後に期待

ここで、報告書の評価が直ちに誤りだとは言えません。目的が認知拡大なら、低いCPC、フォロワー増、保存増は中間成果になり得ます。販売目的であっても、離島旅行は広告接触から予約までの時間が長く、配信期間中の予約だけでは過小評価になる可能性があります。


しかし、評価語を正確にする必要があります。


  • CPCが低い:クリックを安く獲得できた

  • CTRが高い:表示された人のうち、比較的多くがクリックした

  • 保存が多い:後で見返す意図を示す行動が発生した

  • フォロワーが増えた:将来接触できるアカウント上の関係が増えた

  • 予約0件:観測期間内の直接販売成果は確認できなかった

  • 今後の予約に期待:将来成果に関する仮説であり、実績ではない


「クリックを目指す広告として成功した」と「販売実績を獲得する広告として成功した」は別の命題です。目的を途中で変更する場合も、変更前の目標未達を消してはいけません。未達から学び、次の目的を再設定したこと自体を能力形成として記録するのが妥当です。


そしてそもそも、ここでは指標の取得の限界の存在を限界として認めた上での評価とすることも誠実な態度です。かつ、目標未達はそもそもの目標設定に測定可能性の観点からして無理があったと結論づけ、直接追えなくともその前段の把握できる数値が達成されているなら問題はないとして前に進むことも重要です。



CTRが示すのは入口であり、予約は出口である

予約や購入までには、広告以外の多くの条件が介在します。


広告表示 → クリック → 商品ページ閲覧 → 内容理解 → 信頼形成 → 日程・価格・在庫確認 → 予約操作 → 決済・催行

CTRとCPCが示すのは、主として広告表示からクリックまでです。クリック後に予約が生じない場合には、少なくとも次の代替説明があります。


  1. 広告の訴求と遷移先の内容が一致していない

  2. 商品説明、写真、価格、口コミが不十分である

  3. 予約ボタンやフォームが分かりにくい

  4. 対象日、在庫、予約可能人数が少ない

  5. 広告配信時期と旅行検討時期がずれている

  6. 航空・船便、宿泊、天候等の制約が強い

  7. クリックした人は関心を持ったが、購入意向までは強くない

  8. 予約が別経路で発生し、広告との対応を計測できていない


報告書自身も、予約サイトの使いにくさ、購入ページの情報不足、季節、在庫、商品単価、遷移先がSNSだったことなどを個別案件の課題として挙げています。これは、広告レポートを事業改善へ接続しようとした有用な記録です。


ただし、クリック後の離脱位置、予約開始、フォーム完了、電話・DM、後日の購入を計測しなければ、ボトルネックは仮説にとどまります。高CTR・予約0件の案件で次に増やすべきなのは、広告予算ではなく計測解像度である場合が少なくありません。



目標達成と、成果の質は分けて読む

第1章で示された県の成果目標は、次の2点でした。


  1. 参画事業者120者

  2. Web・SNS等に商品掲載できた事業者割合70%以上


第2章では、136者が参画し、113者がWeb・SNS等へ掲載したと報告されています。113÷136は83.1%であり、正式目標は達成しています。県の令和4年度沖縄振興特別推進交付金事業検証シートも、実績83%として目標達成と評価しています。


一方、113者の掲載内訳は次のとおりです。


掲載区分

事業者数

113者に占める割合

OTA・ECのみ

3

2.7%

SNSのみ

67

59.3%

Web・SNSの両方

43

38.1%

合計

113

100.0%

OTA・ECへの掲載事業者は合計46者です。残る67者はSNSのみであり、報告書は広告配信もSNS掲載へ含めています。


これは、正式指標が操作されたという意味ではありません。定義どおりに測定され、目標は達成しています。問題は、異質な成果を「掲載」という一つの指標へ束ねていることです。


一度の広告配信、SNSでの商品投稿、継続運用するSNSアカウント、OTA・ECへの販売ページ開設は、必要な能力も、残る資産も、販売可能性も異なります。次年度判断には、少なくとも次を分ける必要があります。


  • 一回限りの広告掲載

  • 自社SNSでの継続的な商品発信

  • 予約・購入可能なWebページの整備

  • 新規OTA・ECへの販路開設

  • 既存ページの改善

  • 事業終了後の継続利用


活動を広く捉える指標は参加機会を測るには有効ですが、販路拡大や自走を測るには粗すぎます。



売上720万円と執行額5,841.8万円を、そのままROASにしない

第7章「事業総括」は、正式な成果目標とは別に、受託事業者が「120事業者以上の販売実績獲得」を目標にしたと説明しています。実績は75者、目標に対する達成率62.5%、報告売上は約720万円でした(p.255)。実参加136者を分母にすると、販売実績を得た事業者割合は55.1%です。


売上表を再計算すると、観光体験39件で1,405,420円、特産品1,276件で5,832,499円、合計1,315件・7,237,919円です。


指標

再計算値

読み方

観光体験1件当たり売上

約36,036円

予約単価の概算

特産品1件当たり売上

約4,571円

注文単価の概算

全体1件当たり売上

約5,504円

商品構成差を含む単純平均

販売実績獲得事業者1者当たり売上

約96,506円

分布の偏りを隠す平均

上位1者の売上構成比

約25.4%

総額が一部事業者へ集中

上位5者の売上構成比

約51.8%

事業者名で合算した再計算

総売上だけでは、成果が広く分布したのか、一部の成功事業者が押し上げたのかが分かりません。公共事業では、合計額に加え、中央値、分位点、0件割合、事業者規模・島・業種別分布を示す必要があります。


一方、公表検証シートによれば、令和4年度の当初予算は6,000万円、執行済額は58,418千円でした。内訳には委託費、募集・調整、研修、商談、SNS広告、広報、人材育成等が含まれます。


執行済額58,418千円と報告売上7,237,919円を単純に割ると約12.4%です。しかし、この比率をROASや投資収益率と呼ぶことはできません。


  • 分母は広告費だけでなく、募集、研修、コンサルティング、販路開拓、運営等を含む

  • 分子は粗利や増分利益ではなく売上である

  • 売上にはSNS広告以外のOTA・EC掲載、広報施策等が関係する

  • 広告がなくても発生した売上を除けていない

  • 能力形成、販路、制作物、関係構築等の将来便益を含まない

  • 小規模離島への支援機会という公共価値を金額換算していない


広告配信枠を「1者当たり2万円+4万円」とし、110者へ満額配信したと仮定した上限は660万円(税別)です。ただし、2回目未配信の案件もあり、実際の総媒体費は報告書で一括提示されていません。この上限額は執行済額の約11.3%に相当しますが、税区分と実配信額が揃わないため、構成比も概算です。


したがって、公共事業全体を広告ROASだけで評価すれば、支援の大部分を測定対象から落とします。反対に、能力形成を理由に費用対効果を問わないのも誤りです。費用を商業成果、能力形成、公共価値へ配賦し、それぞれの成果と対応させる必要があります。



広告を経験したことと、自走できることは違う

第6章「販売力向上に向けた人材育成施策」は、事業終了後の自走化を明示しています(p.228)。研修、個別コンサルティング、eラーニング、SNS広告実習を組み合わせた点は合理的です。


ただし、公開資料から明確に確認できるのは、主として学習機会への接触です。


  • SNS広告を経験した事業者:110者

  • 専門アドバイザーによる個別支援:27者

  • eラーニング活用:41者、対象120者に対して34%

  • eラーニング利用者の平均学習時間:95分

  • 研修後アンケート:理解度、満足度、今後の意欲


これらは重要な活動・中間成果ですが、能力の定着を直接測るものではありません。満足したこと、意欲を持ったこと、レポート説明を受けたことと、一人で広告目的を定め、計測を設定し、予算を配分し、結果を読んで改善できることには距離があります。


能力形成を測るには、少なくとも事前・事後・追跡の3時点で、次の行動を確認する必要があります。


  1. 目的に応じて媒体と最適化目標を選べる

  2. 顧客、商品、配信時期を踏まえてターゲットを設定できる

  3. 広告仮説と比較案を作れる

  4. 予約・購入・問い合わせを計測できる

  5. CTR、CPC、CVR、CPA、粗利を区別できる

  6. 結果から継続・変更・停止を判断できる

  7. 支援終了後に自費・自力で実行できる


翌令和5年度には、県の成果目標へ「日常業務でデジタルを月1回以上、継続的に活用している事業者割合80%以上」が追加され、実施報告書では、Web・SNS掲載107者のうち92者、86.0%が該当したと報告されています。自走を明示的に測ろうとした点は前進です。


ただし、「月1回以上のチェックや活用」は最低限の継続行動であり、広告・販売の判断能力そのものではありません。次の段階では、頻度だけでなく、支援なしで何を実行し、どの判断を正しく行えたかを測る必要があります。



公共事業の成果を、少なくとも三つに分ける

広告成果と能力形成を一つのKPIへ統合する必要はありません。むしろ、次の三勘定を分離して管理した方が、次年度判断が明確になります。


1.商業成果勘定


  • 増分予約・注文・売上

  • 粗利・限界利益

  • 問い合わせ、予約開始、購入率

  • 顧客獲得単価

  • リピート、継続売上

  • 事業者別・業種別・島別の分布


2.能力形成勘定


  • 事前・事後の実技評価

  • 自力で設定・配信・分析できる事業者割合

  • 支援終了後3か月・6か月の継続率

  • 自費で広告・販促を実施した事業者割合

  • UTM、予約計測、顧客台帳等の実装率

  • 誤った指標解釈の減少


3.公共価値勘定


  • 民間支援を利用しにくい事業者への到達

  • 小・中規模離島への配分

  • 初めてWeb販路を持った事業者数

  • 支援がなければ実施しなかった活動の割合

  • 地域・規模・業種間の便益分布

  • 事業終了後に地域内へ残った支援能力・教材・関係


三勘定を分ければ、例えば「短期売上は低いが、初めて自力運用できるようになった小規模離島事業者への支援」と、「もともと販売力の高い事業者が公費広告で売上を増やした案件」を同じ尺度で扱わずに済みます。



次年度判断に使えるKPIへ戻す

次年度仕様書では、指標を増やすだけでなく、各指標をどの判断に使うかまで定める必要があります。


階層

主要な問い

KPI例

判断への接続

公共目的

誰に追加的な便益が生じたか

初利用者、小規模離島比率、支援追加性

対象・配分の見直し

最終商業成果

事業者の収益は改善したか

増分粗利、予約、継続売上、成功者分布

支援継続・卒業

行動成果

顧客行動はどこまで進んだか

商品閲覧、予約開始、問い合わせ、購入率

導線・商品改善

媒体成果

広告は人を効率的に運んだか

リーチ、CTR、CPC、保存、フォロー

配信・訴求改善

能力成果

支援なしで判断・実行できるか

実技得点、自走率、追跡継続率

研修・伴走設計

直接成果

何を整備・実施したか

掲載、配信、研修、面談、計測実装

履行・進捗管理

費用

何にいくら使ったか

媒体費、制作費、支援費、内部工数

費用配賦・効率化

特に重要なのは、売上と能力の2軸です。



能力形成・高

能力形成・低

商業成果・高

卒業候補。公費支援を縮小し、自費運用へ移す

設定・計測の移管を重点支援する

商業成果・低

広告以外の商品・価格・時期・導線を見直す

基礎支援へ戻す。広告増額は避ける

売上が高く能力も高い事業者へ同じ公費支援を反復する必要は薄くなります。反対に、売上が低い事業者へ広告費だけを追加しても、商品や予約導線、計測、運用能力がボトルネックなら改善しません。



次年度の報告書に、最低限何を残すか

今回の報告書は、個別案件の記録が豊富です。必要なのは記録量の追加より、判断可能な形式への再編です。


1.目的別の成果表


  • 認知目的、販売目的、能力形成目的を配信前に固定

  • 途中変更は変更理由とともに記録

  • 当初目標の達成・未達と、変更後の成果を両方残す


2.事業者別ファネル


  • 表示、クリック、商品ページ閲覧

  • 予約開始、購入開始、問い合わせ

  • 完了予約、完了購入、キャンセル

  • 30日・90日後の追跡成果


3.能力評価


  • 支援前の実技

  • 2回目配信時の自立度

  • 支援後の無補助実行

  • 3か月・6か月後の継続


4.費用配賦


  • 広告媒体費

  • クリエイティブ制作費

  • 個別伴走費

  • 研修・教材費

  • 事務局運営費

  • OTA・EC掲載支援費

  • 発注者側の内部工数


5.比較設計


  • 前年同期、配信前後

  • 1回目と2回目で変更する要素を限定

  • 広告実施・未実施または段階導入の比較

  • 類似事業者群での集約分析


1者当たり6万円程度の広告では、予約件数が0件か1件にとどまる案件も多く、事業者ごとの厳密な効果検証には統計的な情報量が不足します。個別案件では診断と学習を重視し、因果効果は110者を類型化した集約分析や段階導入で検証する方が現実的です。



公開資料から、どこまで判断できるか

判断できること


  • 136者が参画し、正式な参加目標120者を達成した

  • Web・SNS等への掲載113者、83.1%で正式目標を達成した

  • 110者がSNS広告を経験した

  • 1回目と2回目の変更・結果を個別案件単位で確認できる

  • 75者に販売実績があり、報告売上は7,237,919円だった

  • 売上は一部事業者へ集中していた

  • eラーニング利用は対象の34%だった

  • 翌年度には自走を測る成果指標が追加された


合理的に推測できるが、断定できないこと


  • 2回配信とフィードバックが広告理解を促した可能性

  • 一部事業者がターゲット、商品、遷移先の課題を認識した可能性

  • フォロワー・保存が後日の予約や販売に寄与した可能性

  • OTA・EC掲載と広報施策が売上獲得へ寄与した可能性


追加資料なしには判断できないこと


  • 720万円のうち広告による増分売上

  • 事業者別の粗利・限界利益

  • 広告停止後の30日・90日・1年後の成果

  • フォロワー・保存から予約までの転換率

  • 能力形成の事前・事後差と持続性

  • 事業費の施策別配賦と施策別費用対効果

  • 公費支援がなければ実施されなかった割合

  • どの事業者を次年度も支援し、誰を卒業させるべきか



成果の種類を混ぜるほど、事業は反証不能になる

沖縄県の令和4年度「離島デジタル広報・販売スキル向上事業」は、広告配信を単なる代行で終わらせず、事業者が2回の配信と改善を経験する実地訓練へ組み込んだ点に価値があります。110事業者の個別レポートを公開したことも、他地域が広告・販売支援を設計する上で有用です。


同時に、この事業は公共事業評価の難しさを明確に示しています。販売0件でも、クリック、保存、フォロワー、意欲、将来期待のいずれかがあれば成果を語ることはできます。しかし、成果の定義を配信後に広げれば、事業は常に成功したように見え、反証不能になります。


必要なのは、CTRやフォロワーを否定することでも、売上だけを絶対視することでもありません。


直接販売は直接販売として、中間反応は中間反応として、将来成果は追跡し、能力形成は実技と自走で測る。

費用も商業成果、能力形成、公共価値へ対応させます。その上で初めて、次年度も誰に、何を、どこまで公費で支援するかを考えられます。




次の報告書で、「成果」を一語にしない

次回の成果報告で、少なくとも「媒体反応」「販売成果」「能力形成」の三つを別の欄に分けてみてください。


広告・プロモーション報告書の評価で判断に迷う場合

広告レポートに数値は並んでいるものの、次年度の予算や仕様書をどう変更すべきか判断できない場合には、広告指標、事業者成果、能力形成、公共価値、費用を分けて確認する必要があります。


株式会社Kerzeでは、自治体・観光協会・DMO・商工団体等を対象に、広告・プロモーションレポートの第三者レビュー、KPI・効果測定設計、委託仕様書の改善、次年度施策の整理を支援しています。現行委託先を変更することが目的ではなく、発注者側が判断可能な材料を整えるための支援です。




参考資料




株式会社Kerzeについて


なんとなく”を終わらせる。根拠を持って「続ける・見直す・止める」を判断できる状態へ。


「どう解決するか」の前に、「何を解決するか」を適切に定めることを何より大切だと考え、株式会社Kerzeは、自治体・各種組合・商社/小売店に対し、事業戦略とマーケティング実務をつなぐ支援を行ってきました。戦略・目的・KPI、予算・発注、業務実施体制を整理しながら、SNS・広告・Web・販促・データ活用などの実務まで、必要な範囲を見定め、実行も含め支援いたします。


執筆・編集:株式会社Kerze

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