老舗地域小売の再出発を、販促ではなく構造から設計する|暮らしの品 つかもとにおける外部CMO伴走事例
更新日:9月20日
90年以上続く地域密着型の生活雑貨・金物店「暮らしの品 つかもと」(旧「塚本金物店」)に、Kerzeは2023年8月から外部CMOとして関与しています。
90年以上続く地域密着型の生活雑貨・金物店「暮らしの品 つかもと」(旧「塚本金物店」)に、Kerzeは2023年8月から外部CMOとして関与しています。
2024年4月1日のリニューアルオープンを一つの節目として、判断基盤、収益設計、売場・MD、分析・運用基盤の再設計に携わってきました。
支援期間中の事業実績として、店舗月次売上は2025年4月から2026年2月まで11か月連続で前年同月を上回りました。イベントでも、2025年秋は2024年秋比で総売上約67.7%増、2026年春は2025年春比で約33.0%増となっています。ただし、これらは商品構成、現場の実行、外部環境を含む事業全体の結果です。
※本ページに記載する業績は、クライアント側の実行、商品構成、外部環境等を含む事業全体の結果であり、Kerze単独の因果効果を示すものではありません。
介入前|必要だったのは、施策追加より判断基盤の再設計だった
暮らしの品 つかもとは、地域に長く根ざしてきた老舗の生活雑貨・金物店です。Kerzeが関与を開始した2023年8月時点で、論点は単なる販促強化ではありませんでした。2024年4月1日のリニューアルオープンを控え、店舗の見え方や発信を整える以前に、今後の事業運営をどの基準で進めるのかを定め直す必要がありました。
小売の再出発局面では、施策を増やすこと自体は難しくありません。問題は、何を優先し、何を見て、どの順で改善するかが曖昧なまま施策だけが積み上がることです。
その状態では、売上が立っても利益が残らず、イベントで伸びても平常営業に再現されず、改善が属人的になりやすい。
この案件で必要だったのは、施策の追加ではなく、事業運営そのものの再設計でした。
外部CMOとして、どこまでを担ったか
Kerzeは、個別施策の受託者としてではなく、経営と現場の判断を接続する外部CMOとして関与しました。
事業目標、商品・売場、販促、数値管理、会議運営を個別に扱うのではなく、一つの意思決定構造として接続しました。何を優先し、どの数字を見て、どの会議で判断し、次の実行へどう反映するかを共有できる状態へ整えています。
実務にも深く踏み込みましたが、それは単なる作業代行を目的としたものではありません。構造設計を現場で機能させるために、必要な実装まで責任を持って進めた形になります。
再出発にあたり、何をどの順で整えたか
1. 判断基盤の整備
まず、事業として何を成果と見なし、どの論点を優先して判断するかを整理しました。事業目標、顧客、商品、販促、評価指標を接続し、会議で確認すべき論点まで一貫させました。
また、各種MTGの設計・進行・資料作成・議事録共有まで含め、継続的な意思決定機構を整備しました。単発の議論ではなく、判断が積み上がる運営体制を作ったことが、この案件の出発点です。
2. 収益・MD・売場基盤の再設計
次に行ったのは、利益が残る商品構成と売場運営の再設計です。仕入れ候補については年間で272件を抽出し、単なる商品追加ではなく、ブランド価値を毀損しないこと、一定の話題性を持つこと、商品自体の質が高いこと、価格帯設計に耐えることという観点から、選択肢母集団を大幅に拡張しました。
あわせて、ECカテゴリ設計、実店舗での販売促進施策の提案、ディスプレイ改善ワークショップの実施などを通じて、売れることと利益が残ることが両立する構造を整えました。
3. 実行・販促基盤の整備
Instagram投稿計画の設計・確認・修正、Googleビジネスプロフィールの最適化、FAQ体系の設計、Meta広告の戦略設計・制作・実装、年間広告予算設計など、各種販促施策も整備しました。
ただし、これらを個別の集客施策として扱ったわけではありません。すべて、判断基盤と収益設計の上に位置づけ、何のために行うのかが明確な状態で設計・運用しました。
4. 分析・運用基盤の整備
継続改善を可能にするため、日次・週次・月次の管理基盤も整備しました。
日次では、来店者数、来店グループ数、購入者数、購入率、ポイントカード利用者数、売上、購入単価中央値に加え、現場での気づき、デジタル施策の履歴、外的環境の変化まで記録。
週次・月次では、売上、来店者数、購入者数、購入率、平均単価などを達成率・前週比・前年比と接続し、売上の結果だけでなく、来店・購買・施策・環境を併せて解釈できる状態を作りました。
情報共有、タスク管理、分析、意思決定記録を接続し、担当者ごとの記憶や単発のやり取りに依存しすぎない運用環境を整えています。
支援後に残ったもの|次の判断に使える経営基盤
この案件では、単発の助言やレポートではなく、次の判断に繰り返し使える基盤そのものを整備しています。
現在は、日次・週次・月次の経営指標、イベント横断比較、購買・バスケット分析、商品ポートフォリオ、広告の仮説検証、示唆・施策の蓄積などを、次回の判断へ接続できる形で運用しています。イベント後の振り返りも、売上の確認だけで終わらせず、利益、購買構造、商品役割、仕入れ判断、次回実行計画まで接続しています。
Kerzeが残したのは、レポートそのものではありません。利益・購買構造・商品戦略・施策評価を、次の意思決定へつなげ続けるための経営基盤です。利益・購買構造・商品戦略・施策評価を、継続的な意思決定へ接続する仕組みの設計と実装です。
支援期間中に、事業側で確認された変化
支援期間中には、平常営業とイベントの双方で改善が確認されています。
イベントでは、2025年秋の総売上が2024年秋比で約67.7%増、2026年春は2025年春比で約33.0%増となりました。平常営業だけでなく、複数のイベントでも改善が確認されています。
また、初の東京イベントブース出展では、開始2時間で粗利ベースの損益分岐点を突破しました。これも、収益構造を踏まえた設計が機能した一例です。
Meta広告についても、配信ごとの結果と学びを次回行動へつなぐ検証を継続しています。単発の媒体指標を追うだけではなく、何を試し、何が分かり、次に何を変えるかを蓄積する運用へ移行しています。
広告を含む販促施策は、売上や利益、来店、購買と切り離さず、事業全体の中で評価しています。
この事例から抽出できる論点
老舗小売の再出発では、改装や発信だけでなく、何を重視し、何を確認し、どの順で改善するかという判断基準の設計が重要になります。
商品、売場、販促、会議、分析を接続することで、一回ごとの施策やイベントから得た学びを、次の判断へ持ち越しやすくなります。
また、外部支援を入れる場合も、個別施策の代行だけでは限界があります。重要なのは、施策そのものよりも先に、何を優先して整えるべきかを設計できることです。
このような会社には、同種の支援が有効です
リニューアルや新体制移行を機に、運営基盤を整えたい
販促はしているが、利益や再現性に結びついていない
経営者の頭の中には基準があるが、組織として共有されていない
数字、売場、販促、会議が分断している
単発施策ではなく、構造から整えたい
このような局面では、作業代行よりも先に、何を優先して整えるべきかという設計が重要です。
本事例で扱った売上・粗利、商品、在庫、価格、催事、販促等の個別論点は、「小売業の売上・粗利・在庫を改善する記事ガイド」からテーマ別に確認できます。
自社で最初に整える基盤を一つ決める
販促を一つ増やす前に、判断基盤・収益・商品・在庫・運用のどこを先に整えるべきかを一つ選んでください。
関連する支援
Kerzeは、施策の追加ではなく、何を先に整えるべきかという判断から支援します。リニューアル、新体制移行、既存運営の再設計など、構造からの整理が必要な局面にある場合は、ご相談ください。
現状がまだ整理しきれていなくても問題ありません。初回では、実行の可否以前に、何を優先して整えるべきかという論点整理から対応します。
株式会社Kerzeについて
なんとなく”を終わらせる。根拠を持って「続ける・見直す・止める」を判断できる状態へ。
「どう解決するか」の前に、「何を解決するか」を適切に定めることを何より大切だと考え、株式会社Kerzeは、自治体・各種組合・商社/小売店に対し、事業戦略とマーケティング実務をつなぐ支援を行ってきました。戦略・目的・KPI、予算・発注、業務実施体制を整理しながら、SNS・広告・Web・販促・データ活用などの実務まで、必要な範囲を見定め、実行も含め支援いたします。
執筆・編集:株式会社Kerze



