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店舗・EC・催事・卸売をどう配分するか。チャネル別限界利益で比較する方法

  • 7月28日
  • 読了時間: 16分

更新日:7 日前

本記事は、店舗・EC・催事・卸売を並行しているものの、どのチャネルへ人員・在庫・販促費を配分すべきか決められていない小売業、メーカー、商社等を対象としています。 この記事における結論は、売上高や粗利益率だけで順位をつけず、チャネル別限界利益、チャネル固有固定費、人時・在庫・供給能力、チャネル間の波及効果を分けて確認することです。 限界利益は有力な出発点ですが、それだけで増額・撤退を自動決定することはできません。

四つのチャネルのうち、どこへ次の100万円と100時間を配分するか

店舗売上は最も大きい。ECは成長している。催事は新規顧客との接点になる。卸売は一度にまとまった数量が動く。この四つを並べたとき、売上高だけで判断すれば店舗、成長率だけならEC、販売数量なら卸売、顧客の反応なら催事が有望に見えることがあります。

しかし、経営上の問いは「どのチャネルが目立っているか」ではありません。

  • 次の100万円の販促費をどこへ配分するか

  • 限られた商品在庫を店舗、EC、催事、卸売のどこへ回すか

  • 経営者と従業員の次の100時間を何に使うか

  • どのチャネルを増やし、維持し、改善し、縮小し、停止し、判断保留するか

この問いへ答えるには、各チャネルが売上をいくら作ったかではなく、販売に伴って増減する費用を差し引いた後に、全社の固定費回収と利益へいくら貢献したかを確認する必要があります。

前稿「月次経営レポートで何を決めるか」では、売上・粗利・在庫・販促を同じ期間と定義で接続する方法を扱いました。本稿は、その中の「チャネル構成」を一段掘り下げ、店舗・EC・催事・卸売への資源配分を決めるための計算方法を示します。


EC市場が拡大していても、自社ECが採算に合うとは限らない

経済産業省の「令和6年度電子商取引に関する市場調査」によると、2024年の国内BtoC-EC市場規模は26.1兆円で、前年比5.1%増でした。物販系分野の市場規模は15兆2,194億円、EC化率は9.78%です。


これはECが重要な販売経路であることを示す外部環境情報です。しかし、個別企業がECを開始・継続・拡大すべきことを意味しません。市場規模には、個社ごとの次の差が反映されていないからです。

  • 商品別の粗利

  • 決済・モール手数料

  • 送料負担と梱包資材

  • ピッキング、梱包、顧客対応、返品処理の人時

  • 商品撮影、登録、更新、広告の費用

  • 店舗とECの在庫同期、欠品、売り越し

  • 新規顧客と既存顧客の構成

  • ECがなくても発生した注文

同様に、商業動態統計や業界平均から店舗・卸売の個社採算を直接決めることもできません。外部統計は市場の変化を知るために使い、資源配分は自社の取引・費用・人時・在庫データで決めます。


比較する利益を一つにしない

「チャネル別利益」という一つの数字を作る前に、何の判断に使う利益なのかを分けます。本稿では、次の四層で整理します。

算式

答えられる主な問い

商品粗利

純売上高-販売した商品の原価

販売価格と商品原価の間に、販売活動を賄う余地があるか

チャネル別限界利益

純売上高-商品変動原価-チャネル変動費

注文・販売を一件追加したとき、固定費回収へいくら残るか

チャネル貢献利益

チャネル別限界利益-チャネル固有固定費

そのチャネルが、全社共通固定費と利益へいくら貢献しているか

全社営業利益相当

全チャネル貢献利益-全社共通固定費

チャネル群全体で会社の固定費を回収できているか

ここでいう純売上高は、原則として税抜売上から値引き、返品、取消等を控除した金額です。ECで顧客から受け取る送料を売上へ含める場合は、配送費と対応させます。卸売ではリベート、販売奨励金、返品条件等の扱いを統一します。

小売業では、販売した商品の仕入原価を商品変動原価の近似として使える場合があります。メーカーでは、材料費、外注加工費、販売数量に応じて増減する製造費を分ける必要があります。固定製造間接費まで一個当たり原価へ配賦した会計上の製品原価を、そのまま短期の追加販売判断へ使うと、追加注文によって実際には増えない費用まで差し引くことがあります。

中央職業能力開発協会の財務管理・管理会計の試験範囲でも、セグメント別損益計算に必要な概念として、個別固定費と共通固定費、限界利益、貢献利益、差額原価、埋没原価、機会原価が区別されています。財務会計上の損益計算書と、経営判断用のチャネル別損益表は目的が異なります。


店舗・EC・催事・卸売で拾う費用は異なる

費目名だけで固定費・変動費を決めてはなりません。同じ人件費でも、既存の正社員給与のように当面変わらない費用と、催事の臨時スタッフ代のように実施の有無で変わる費用があります。同じ配送費でも、注文ごとに発生する宅配費と、全社共通倉庫の固定賃料では性質が異なります。

区分

店舗

EC

催事

卸売

主なチャネル変動費

決済手数料、販売ごとの包装資材、従量歩合

決済・モール手数料、送料負担、梱包、出荷作業、返品処理

決済・販売手数料、販売ごとの包装、従量の臨時人員・配送

物流費、ピッキング、販売手数料、リベート、回収・返品対応

主なチャネル固有固定費

店舗賃料、店舗専任人員、店舗限定設備

システム基本料、EC専任人員、定常的な撮影・更新

出店料、旅費・宿泊費、会場設営、開催固有の準備費

専任営業人員、商談サンプル、受発注システム、取引維持費

見落としやすい負荷

接客、品出し、棚替え、営業時間拘束

撮影、採寸、登録、問合せ、在庫同期、返品

搬入出、事前仕分け、移動、宿泊、翌日の復旧

見積、条件交渉、小口多頻度対応、入金サイト、得意先別仕様

共通費となり得るもの

経営者報酬、共通倉庫、経理、ブランド制作、共通システム等

同左

同左

同左

費用区分は恒久的ではありません。例えば、現在の従業員が余力時間でEC梱包を行うなら、短期には給与が増えないことがあります。一方、EC受注増により残業、外注、採用が必要になる水準を超えれば、追加人時は関連原価になります。判断期間と販売量の範囲を先に定める必要があります。


数値例:売上順位と、残る利益の順位は一致しない

以下は、説明用に単純化した架空の月次例です。単位は万円です。

チャネル別限界利益 = 純売上高-商品変動原価-チャネル変動費
チャネル貢献利益 = チャネル別限界利益-チャネル固有固定費

項目

店舗

EC

催事

卸売

合計

純売上高

500

350

240

450

1,540

商品変動原価

250

175

120

270

815

チャネル変動費

13

80

25

35

153

チャネル別限界利益

237

95

95

145

572

限界利益率

47.4%

27.1%

39.6%

32.2%

37.1%

チャネル固有固定費

130

50

80

45

305

チャネル貢献利益

107

45

15

100

267

売上高貢献利益率

21.4%

12.9%

6.3%

22.2%

17.3%

この例で、売上高は店舗、卸売、EC、催事の順です。チャネル貢献利益は店舗107万円、卸売100万円、EC45万円、催事15万円となります。売上順位と一致しません。

ただし、この表から直ちに「店舗を最優先し、催事をやめる」とは判断できません。少なくとも次を確認する必要があります。

  1. 追加販売に必要な人時、在庫、製造能力

  2. 売掛金と入金サイトを含む運転資金

  3. チャネルを縮小・停止したとき、本当に消える固定費

  4. 店舗・催事で接触し、後日ECで購入する等のチャネル間効果

  5. 卸売増加による直販売上、価格、ブランド、取引先集中への影響

  6. 月次ではなく、催事単位・季節単位で見るべき変動

限界利益と貢献利益は、結論ではなく、誤った候補を除外し、追加確認事項を特定するための出発点です。


共通費を配賦すると、撤退判断を誤ることがある

上の企業に全社共通固定費が180万円あるとします。売上高比で各チャネルへ配賦すると、催事には約28.1万円が割り当てられます。催事の貢献利益15万円からこれを引くと、催事は約13.1万円の赤字に見えます。


しかし、催事をやめても経営者報酬、経理費、共通倉庫賃料等の180万円が変わらないなら、催事を停止して消えるのは催事固有の売上・変動費・固定費です。催事が生んでいた15万円の貢献利益を失うため、他の条件が同じなら全社利益は15万円減ります。配賦後赤字13.1万円を消せるわけではありません。


志村正の「ABC貢献利益分析」は、伝統的なセグメント別貢献利益分析では、共通固定費をセグメントへ配賦せず、セグメント別に跡づけ可能な個別固定費を考慮すると整理しています。同論文は製品セグメントを中心に論じていますが、チャネルをセグメントとして扱う際にも、撤退によって回避できる費用と残る費用を分ける考え方は適用できます。


撤退判断は、次の差額で考えます。

撤退による利益変化 = 回避できるチャネル固有固定費+解放資源の再配分利益-失うチャネル別限界利益-他チャネルへの負の波及

上の催事では、チャネル貢献利益は15万円です。催事を止めて浮く120時間を卸売へ回し、追加で36万円の限界利益を得られるなら、単純化した差額はプラス21万円です。

36万円-15万円=21万円

この条件では催事停止または回数削減が合理的な候補になります。一方、解放した時間に代替用途がなく、催事がECの新規顧客獲得にも寄与しているなら、停止の根拠は弱まります。


人時・在庫・供給能力が制約なら、利益率の順位も変わる

経営においては当然ながら資金だけでなく、経営者時間、販売人員、製造能力、売れ筋在庫、保管場所が制約になります。その場合は、限界利益率ではなく、最も厳しい制約資源一単位当たりの限界利益を確認します。

架空例に、各チャネルへ直接記録できる月間人時を加えます。

指標

店舗

EC

催事

卸売

チャネル別限界利益

237万円

95万円

95万円

145万円

直接人時

360時間

130時間

120時間

60時間

1時間当たり限界利益

約0.66万円

約0.73万円

約0.79万円

約2.42万円

この例では、限界利益額最大の店舗より、1時間当たりでは卸売が高くなります。ただし、卸売を増やすと商品供給能力が先に尽きるなら、人時ではなく製造時間、重点SKU数量、仕入資金等を分母に置くべきです。

制約資源一単位当たり限界利益 = 追加的な限界利益÷追加的に必要な制約資源

経営者自身の無給労働も「費用ゼロ」と扱わない方がよい場合があります。会計上の費用と、意思決定上の機会費用を分け、代替業務へ使った場合の価値または代替人材の調達費で感度分析します。ただし、既にチャネル固有固定費へ人件費を計上した場合、同じ人件費を人時費用として二重控除してはなりません。


チャネルの役割を、赤字の免罪符にしない

店舗、EC、催事、卸売は、販売以外の役割を持つことがあります。問題は、「ブランドのため」「新規顧客のため」という説明だけで、赤字や過大な人時を無期限に容認することです。

チャネル

想定される役割仮説

確認するデータ例

継続条件の例

店舗

実物確認、相談、信頼形成、地域接点

来店後EC購入、接客有無、初回購入、併売、返品

接客が購入・粗利・再購入へつながる兆候があり、固定費を含む改善余地がある

EC

遠隔販売、再購入、営業時間外受注、品揃え提示

新規・既存、受注別利益、再購入、送料、返品、人時

注文単位の限界利益が正で、顧客獲得または再購入基盤として改善可能

催事

新規接触、需要検証、在庫消化、地域外販売

新規顧客、催事後購入、商品別消化、獲得費、持込在庫

催事損益または検証価値が事前基準を満たし、終了後の追跡が可能

卸売

取扱拠点拡大、数量確保、製造能力稼働、信用形成

得意先別利益、ロット、物流、人時、入金サイト、返品、集中度

直販との競合や資金拘束を含めても、供給能力の利用価値が高い

クロスチャネル効果が存在し得ること自体は、研究でも示されています。Averyほかの実店舗追加による既存ダイレクトチャネルへの影響研究は、高価格帯小売企業のデータを用い、チャネル追加が既存チャネルへ及ぼす効果が短期・長期や顧客によって異なり得ることを分析しています。ただし、単一企業を対象とするマッチング研究であり、小売、催事、卸売へ効果量を直接移せません。


したがって、自社では「相互送客がある」と断定せず、紹介コード、購入時アンケート、顧客ID、地域・期間比較等で確認します。完全な識別が難しい場合は、効果を低・中・高のレンジで置きます。


例えば、催事のチャネル貢献利益がマイナス30万円で、催事によって追加的に獲得したと考えられる顧客が100人なら、損失回収に必要な将来限界利益は、一人当たり3,000円です。

30万円÷100人=3,000円

ただし、100人全員が催事による増分顧客とは限りません。実際の増分顧客が50人なら必要額は一人当たり6,000円になります。この回収可能性を追跡できないなら、「新規顧客獲得のため」という説明は仮説にとどまります。


増額・維持・改善・縮小・停止・保留を分ける

チャネル判断を「継続か撤退か」の二択にすると、改善余地と不確実性を無視します。

判断

主な条件

代表的な行動

増額・拡大

追加販売の限界利益が正で、制約資源一単位当たりの利益が代替案より高く、在庫・資金・品質を損なわない

販促増、取扱SKU・開催回数・得意先の拡大

維持

貢献利益が正で、役割が明確だが、追加投資の収益性は未確認

現行規模を維持し、計測を継続

改善

限界利益は正だが、送料、返品、小口対応、人時、値引き等に改善余地がある

最低注文額、送料条件、SKU、業務フロー、取引条件を変更

縮小

一部商品・顧客・時期だけが採算を毀損し、全停止より限定運用が優れる

催事回数削減、EC SKU限定、卸先選別、店舗営業時間短縮

停止

増分販売の限界利益が負、または回避可能固定費を含め長期的に貢献せず、役割仮説も支持されない

撤退、外部モール化、卸先終了、催事不参加

保留

データ定義が不統一、季節性が強い、立上げ直後、クロスチャネル効果が未確認

投資上限を定め、追加データと再判断日を設定

売上が伸びていても、追加注文一件ごとの限界利益が負なら、拡大するほど損失が増えます。反対に、配賦後営業利益が赤字でも、限界利益とチャネル貢献利益が正で、共通費が撤退後も残るなら、即時停止は全社利益を悪化させることがあります。

広告投資の損益分岐点と限界利益の関係は、既存記事「小売店は、集客広告を増やす前に何を確認すべきか」で詳しく整理しています。


判断期間によって、関連する費用は変わる

同じチャネルでも、判断期間が変われば結論が変わります。

次の注文・次の催事を受けるか

追加売上、商品変動原価、決済・配送・臨時人員・出店等、その判断によって増減する費用を中心に比較します。既に支払済みで回収不能な費用は埋没原価として分けます。

次の6〜12か月で規模を変えるか

システム契約、専任人員、賃料、外注、営業時間、撮影・更新体制等、期間内に回避・変更できる固定費を加えます。繁忙期と閑散期を混ぜず、前年同季または催事単位でも確認します。

中長期のチャネル構成を変えるか

顧客獲得・再購入、ブランド、取引先関係、製造能力、設備、採用、運転資金、価格統制、事業継続性を含めます。限界利益の単月順位だけで決めず、複数シナリオで評価します。


最低限必要なデータ

最初から精緻な活動基準原価計算を導入する必要はありません。通常は、直近3〜12か月と主要催事について次をそろえるところから始めます。

データ

最低限必要な項目

主な注意点

売上明細

日付、商品、数量、税抜売上、値引き、返品、チャネル

受注・出荷・決済等の計上基準を統一

商品原価

SKU別仕入・材料・外注加工等

月間仕入額ではなく、販売分の原価と対応

チャネル費

決済、送料、梱包、手数料、出店、旅費、システム等

変動費、固有固定費、共通費に区分

人時

受注、接客、梱包、搬入出、撮影、営業、返品等

まず2〜4週間の標本記録でもよい

在庫・能力

チャネル別引当、欠品、製造・仕入上限、保管場所

二重計上、売り越し、重点SKU偏在を確認

顧客・波及

新規・既存、紹介元、後日購入、再購入

観測できない効果をゼロとも確定値とも扱わない

資金

入金日、支払日、売掛、前払、返品引当

利益が出ても資金不足となる場合を分離

人時と間接業務が大きい場合は、作業時間を用いて活動原価を推定する方法が候補になります。JärvinenとVäätäjäの中小企業を含む3事例の時間主導型活動基準原価計算研究は、物流・販売取引が多く間接費が大きい環境での顧客別収益性分析を扱っています。一方、プロセス時間情報、情報システム、データ完全性の不足を実装上の課題として挙げ、原価計算システムだけで業績が改善するわけではないとしています。

小規模企業では、全作業を精密に測るより、決済、配送、梱包、返品、催事準備、卸売の小口対応等、チャネル差が大きく判断を変え得る活動から記録する方が実用的です。


実装は八段階で進める

  1. 意思決定と期間を決める


    次月の販促配分、次回催事、年間チャネル構成等、何を決める表かを明確にする。

  2. チャネル定義を固定する


    自社ECとモール、常設店と期間店、催事と展示会、卸売と委託販売等を必要に応じて分ける。

  3. 純売上と商品変動原価を対応させる


    税、返品、値引き、送料収入、販売分原価の扱いを統一する。

  4. チャネル変動費を拾う


    決済、配送、梱包、販売手数料、返品、従量人時等を記録する。

  5. 固有固定費と共通固定費を分ける


    「そのチャネルを止めたら期間内に消えるか」で確認する。

  6. 制約資源を一つ特定する


    人時、重点SKU、製造時間、仕入資金、保管場所等から最も厳しいものを選ぶ。

  7. 役割仮説と検証期限を置く


    認知、新規獲得、再購入、需要検証等を、指標・投資上限・再判断日とセットにする。

  8. 六つの選択肢を比較する


    増額、維持、改善、縮小、停止、保留について、全社利益・資金・能力への差額を試算する。


導入・継続、簡略化、停止・保留の条件

チャネル別採算管理を導入・継続した方がよい

  • 二つ以上の販売チャネルで、費用構造と必要人時が異なる

  • 在庫、製造能力、人員、資金の配分がチャネル間で競合する

  • 売上成長チャネルと利益貢献チャネルが一致していない

  • 催事、EC、卸売等を続ける理由が定性的説明にとどまる

  • 商品別・チャネル別データを通常業務の範囲で取得できる

  • 月次または四半期に、実際に配分変更を行う余地がある


簡略化・修正した方がよい

  • 共通費配賦に時間を使いすぎ、意思決定が変わらない

  • 人時記録が細かすぎて現場運用を圧迫する

  • 季節性が強いのに単月だけで比較している

  • 店舗・EC等の大区分では差が隠れ、商品・顧客群まで分ける必要がある

  • 反対に件数が少なく、細分化すると偶然変動が大きくなる

  • 貢献利益率だけを見て、制約資源、資金、波及効果を確認していない


計算または判断を停止・保留した方がよい

  • 売上、返品、原価、チャネルの定義が期間ごとに変わる

  • 在庫差異が大きく、販売分原価を対応できない

  • チャネルを止めても残る共通費を、撤退効果として扱っている

  • 立上げ直後または季節途中で、評価期間が役割に対して短すぎる

  • 品質、安全、納期、主要取引先契約等の制約が利益比較より優先される

  • 詳細な採算表を作っても、資源配分を変える権限・意思がない

判断保留は放置ではありません。不足データ、暫定投資上限、取得担当、再判断日を定めます。


結論

店舗・EC・催事・卸売を比較するとき、売上高、粗利益率、成長率のいずれか一つで順位を決めるべきではありません。


  1. 純売上高から商品変動原価とチャネル変動費を差し引き、チャネル別限界利益を出す

  2. チャネル固有固定費を差し引き、全社共通固定費への貢献を確認する

  3. 共通固定費は、撤退で実際に消える場合を除き、機械的な撤退根拠にしない

  4. 人時、在庫、製造能力、資金等の制約資源一単位当たりでも比較する

  5. 顧客獲得、再購入、ブランド、検証等の役割は、仮説・投資上限・期限を設定する

  6. 増額、維持、改善、縮小、停止、保留の差額を比較する


最も売上が大きいチャネルが、次の資源配分先として最適とは限りません。反対に、配賦後に赤字に見えるチャネルが、撤退すべきとも限りません。必要なのは「どのチャネルが優れているか」という一般論ではなく、自社の費用構造と制約条件の下で、次の1円・1時間・1個の在庫をどこへ回すと全社の利益と持続可能性が高まるかという比較です。


株式会社Kerzeでは、小売業、メーカー、商社等を対象に、既存の販売明細、原価、在庫、販促、人時データを確認し、チャネル別損益表、人時配賦表、資源配分案の設計を支援しています。支援内容はマーケティング判断・改善支援で確認できます。


売上、粗利、商品構成、催事、販促、日次・週次・月次の管理基盤を接続した支援については、「暮らしの品 つかもと」における外部CMO伴走事例で紹介しています。

現在の資料で店舗・EC・催事・卸売の売上は分かるものの、どこへ資源を配分すべきか判断できない場合は、最初から精緻な原価計算を導入するのではなく、意思決定を変え得る費用と制約資源から整理することが出発点となります。

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