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老舗地域小売の再出発を、販促ではなく構造から設計する|暮らしの品 つかもとにおける外部CMO伴走事例

  • 4月1日
  • 読了時間: 7分

90年以上続く地域密着型の生活雑貨・金物店「暮らしの品 つかもと」(旧「塚本金物店」)に対し、Kerzeは2023年8月より外部CMOとして関与しております。


2024年4月1日のリニューアルオープンを一つの節目とし、判断基盤・収益設計/売場・MD分析/運用基盤の再設計に携わらせていただいております。


その結果、オープン2年目は営業日の下位25%帯売上の底上げ、全月での前年比成長、全イベントでの前年比成長が確認され、利益と再現性の両面で運営基盤の整備が進んでおります。


※なお本ページに記載する成果は、クライアント側の実行や外部環境を含む複数要因の結果です。その上で、Kerzeの関与は、利益と再現性を両立させる運営構造への接続に寄与したものと位置づけています。


事例概要

暮らしの品 つかもとは、地域に長く根ざしてきた老舗の生活雑貨・金物店です。Kerzeが関与を開始した2023年8月時点で、論点は単なる販促強化ではありませんでした。2024年4月1日のリニューアルオープンを控え、店舗の見え方や発信を整える以前に、今後の事業運営をどの基準で進めるのかを定め直す必要がありました。


小売の再出発局面では、施策を増やすこと自体は難しくありません。問題は、何を優先し、何を見て、どの順で改善するかが曖昧なまま施策だけが積み上がることです。

その状態では、売上が立っても利益が残らず、イベントで伸びても平常営業に再現されず、改善が属人的になりやすい。

この案件で必要だったのは、施策の追加ではなく、事業運営そのものの再設計でした。


Kerzeが担った役割

Kerzeは、個別施策の受託者としてではなく、経営と現場の判断を接続する外部CMOとして関与しました。


理念・ビジョン・ミッション、原理原則、ブランディング戦略の整理から、事業目標、STP、コンセプト、MM戦略、KGI-KPI-KAIツリー、会議体、コミュニケーションルールの設計までを一体で扱い、その上で収益・売場・販促・分析・業務運用へ落とし込みました。


実務にも深く踏み込みましたが、それは単なる作業代行を目的としたものではありません。構造設計を現場で機能させるために、必要な実装まで責任を持って進めた形になります。


再出発局面で、何をどの順で整えたか

1. 判断基盤の整備

まず、何を成果と見なし、どの論点を優先して判断するかの明確化を行いました。理念・ビジョン・ミッションの整理、原理原則およびブランディング戦略の言語化、事業目標設定、STP整理、コンセプト整理、MM戦略設計を行い、それらをKGI-KPI-KAIツリーに落とし込みました。

また、各種MTGの設計・進行・資料作成・議事録共有まで含め、継続的な意思決定機構を整備しました。単発の議論ではなく、判断が積み上がる運営体制を作ったことが、この案件の出発点です。


2. 収益・MD・売場基盤の再設計

次に行ったのは、利益が残る商品構成と売場運営の再設計です。仕入れ候補については年間で272件を抽出し、単なる商品追加ではなく、ブランド価値を毀損しないこと、一定の話題性を持つこと、商品自体の質が高いこと、価格帯設計に耐えることという観点から、選択肢母集団を大幅に拡張しました。


あわせて、ECカテゴリ設計、実店舗での販売促進施策の提案、ディスプレイ改善ワークショップの実施などを通じて、売れることと利益が残ることが両立する構造を整えました。


3. 実行・販促基盤の整備

Instagram投稿計画の設計・確認・修正、Googleビジネスプロフィールの最適化、FAQ体系の設計、Meta広告の戦略設計・制作・実装、年間広告予算設計など、各種販促施策も整備しました。

ただし、これらを個別の集客施策として扱ったわけではありません。すべて、判断基盤と収益設計の上に位置づけ、何のために行うのかが明確な状態で設計・運用しました。


4. 分析・運用基盤の整備

継続改善を可能にするため、日次・週次・月次の管理基盤も整備しました。


日次では、来店者数、来店グループ数、購入者数、購入率、ポイントカード利用者数、売上、購入単価中央値に加え、現場での気づき、デジタル施策の履歴、外的環境の変化まで記録。


週次・月次では、売上、来店者数、購入者数、購入率、平均単価などを達成率・前週比・前年比と接続し、売上の結果だけでなく、来店・購買・施策・環境を併せて解釈できる状態を作りました。


Slack、Notion、Gmail、GA4等デジタルツール/サービスの連携整備やタスク管理、業務フローの整流化も含め、改善が一過性で終わらない運用環境を整えています。


実際にどのような変化が生じたか

こうした再設計の結果、運営構造には利益と再現性の両面で変化が見られました。


まず、2024年4月1日〜2025年3月31日と、2025年4月1日〜2026年3月31日の年間営業日比較において、営業日のうち下位25%帯の売上が約2倍と大きく底上げされました。


これは、売上が低い日における収益性が改善したことを意味します。単に上振れ日が増えたのではなく、平常営業の下振れ耐性が上がったということです。


加えて、同期間比較において、全月で前年比成長、全イベントで前年比成長が確認されました。単発施策や一時的な話題化ではなく、平常営業とイベント営業の双方において、再現可能な改善が積み上がったと解釈できます。


また、初の東京イベントブース出展では、開始2時間で粗利ベースの損益分岐点を突破しました。これも、収益構造を踏まえた設計が機能した一例です。


販促実装の質を示す補助的指標として、Meta広告では1クリックあたりの単価(CPC)が10円、閲覧者あたりのクリック率8.22%という数値も確認されました。

ただし、本案件において重要なのは広告指標そのものではなく、広告を含む実行施策が、利益と再現性を意識した全体設計の一部として機能していた点にあります。



実際に整備した判断と運用の基盤

この案件では、助言だけでなく、判断と運用の基盤そのものを整備させていただいております。


例えば、イベント出展後の振り返りの会議においては利益指標、売上分析、決済手段ごとの差分、バスケット差分、オーダー内容の散らばり、割引処理がオーダー全体に与える影響、同時購入ペア、ABC分析、仕入れ強化カテゴリ、仕入れに関するタブー、次回実行計画等々を整理し、次の意思決定へ接続しました。


Kerzeが行ったのは、レポート提出ではありません。利益・購買構造・商品戦略・施策評価を、継続的な意思決定へ接続する仕組みの設計と実装です。


この事例から抽出できる論点

老舗小売の再出発では、改装や発信だけでは十分ではありません。利益が残るかどうかは、何を重視し、何を確認し、どの順で改善するかという判断基準の設計に左右されます。


商品、売場、販促、会議、分析が分断されたままでは、努力は積み上がっても再現性のある成果にはつながりにくい。逆に、それらが接続されると、平常営業とイベント営業の双方で改善が蓄積しやすくなります。


また、外部支援を入れる場合も、個別施策の代行だけでは限界があります。重要なのは、施策そのものよりも先に、何を優先して整えるべきかを設計できるかどうかが重要であると弊社は考えております。


このような会社には、同種の支援が有効です

  • リニューアルや新体制移行を機に、運営基盤を整えたい

  • 販促はしているが、利益や再現性に結びついていない

  • 経営者の頭の中には基準があるが、組織として共有されていない

  • 数字、売場、販促、会議が分断している

  • 単発施策ではなく、構造から整えたい

このような局面では、作業代行よりも先に、何を優先して整えるべきかという設計が重要です。


類似の局面にある場合は、ご相談ください

Kerzeは、施策の追加ではなく、何を先に整えるべきかという判断から支援します。リニューアル、新体制移行、既存運営の再設計など、構造からの整理が必要な局面にある場合は、ご相談ください。

現状がまだ整理しきれていなくても問題ありません。初回では、実行の可否以前に、何を優先して整えるべきかという論点整理から対応します。

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