「『うちの商品・サービスの魅力って何だろう?』を掘り下げる – Kerzeが実践する、お客さまに選ばれる“価値”発見の技術」
- 株式会社Kerze
- 4 時間前
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「こだわって作っているのに、お客様に魅力が伝わっている気がしない…」
「うちの本当の強みって、一体何なのだろう…?」
「競合と比べて、何が違うのか、どうアピールすればいいか分からない…」
もし、あなたが自社の商品やサービスの「真の価値」について、このようなモヤモヤとした思いを抱えているなら、少しだけ私たち株式会社Kerze(ケルツェ)の考え方にお付き合いいただけないでしょうか。
私たちは、マーケティング戦略やSNS運用支援などを通じて、多くのお客様の事業成長に携わらせていただいています。その中で強く感じるのは、素晴らしい技術や想い、そして地域に根差した独自の魅力を持っているにも関わらず、その「価値」がお客様自身にも、そして最終的なお客さまにも十分に認識されていないケースが非常に多いということです。
株式会社Kerzeは、単に広告を運用したり、SNSの投稿を作成したりする会社ではありません。私たちの支援の根幹にあるのは、まずお客様の事業や想いを深く、深く理解すること。そして、お客様自身もまだ気づいていないかもしれない「本質的な価値」を共に発見し、それをお客さまに響く形へと昇華させ、具体的な成果へと結びつけるお手伝いをすることです。
この記事では、Kerze社が日々実践している「価値発見の技術」の核心部分を、具体的なステップや問いかけ、そしてその背景にある考え方と共にお伝えします。それは、心理学的な知見や多様な分析フレームワークも活用しながら、お客様の「当たり前」の中に眠る「選ばれる理由」を、共に掘り起こしていくプロセスです。
■I. 「価値発見」への羅針盤:Kerzeが定める前提と心構え
「うちの商品の良さは、これだ!」そう信じる情熱は、事業を推進する上で不可欠なエネルギーです。しかし、その想いがお客さまにストレートに届くとは限りません。価値を発見し、それを効果的に伝えていく旅を始める前に、まず大切にしたい心構えがあります。
1. 「一旦落ち着いて、整理する」ことから始まる:喧騒から離れ、本質を見つめる
情報が溢れ、日々の業務に追われる中で、私たちはつい目の前の課題や流行りの手法に意識が向きがちです。しかし、本当に大切なことを見失わないためには、まず一度立ち止まり、現状を冷静に見つめ直す時間を持つことが、新たな発見への第一歩となることがあります。
Kerzeがお客様と最初に行うのは、まさにこの「整理整頓」のお手伝いです。
これまでの購買データをつぶさに眺める: どんな商品が、どんなタイミングで、どんなお客様に選ばれてきたのか。客観的なデータは、貴重な示唆を与えてくれます。
お客さまの生の声に耳を澄ます: 寄せられた感想、時には厳しいご意見、何気ない一言。そこには、私たちが気づいていない価値のヒントが隠されていることがよくあります。
競合の動きを客観的に把握する: 同じ市場で活動するライバルたちは、何を提供し、お客さまからどのように見られているのか。自社の立ち位置を相対的に理解することは重要です。
これらは、マーケティングリサーチの基本的なステップと言えるかもしれません。しかし、日々の忙しさの中で、この「当たり前」の作業を丁寧に行い、そこから意味を見出すことが、意外と難しいと感じられる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
特に私たちが重視するのは、「内部資源の徹底的な調査」です。今、あなた自身が持っているものは何か? それは、具体的な商品やサービスだけでなく、長年培ってきた技術、独自のノウハウ、情熱を持った人材、地域との温かい繋がり、そして創業から続く歴史や物語かもしれません。多くの場合、まだ磨かれていない価値の原石は、既にあなたご自身の手の中にあるのです。
2. 「本質的な価値」はお客様と決める:作り手の想いと、お客さまの期待の調和
「この商品の価値は、この優れた機能性だ!」作り手として、自社の製品やサービスに込めた想いや、こだわり抜いた特徴を「価値」として強く認識するのは自然なことです。しかし、Kerzeが考える「本質的な価値」とは、企業側が一方的に定義するものではなく、最終的にお客さま自身が感じ、認め、そして対価を支払ってでも手に入れたいと思うものです。
お客さまが製品やサービスに対して感じる「価値」は、実に多様です。
機能的価値: 製品が持つ基本的な性能や利便性。「この炊飯器はご飯が美味しく炊ける」「このシステムは業務効率を大幅に改善する」といった、実用的な便益です。
情緒的価値: それを使うことで得られるポジティブな感情や体験。「この服を着ると気分が上がる」「このカフェにいると心が安らぐ」といった、心の満足に関わる価値です。
社会的価値: それを持つこと、利用することで、社会的な評価や所属感が得られる価値。「このブランドのバッグを持つことは一種のステータスだ」「環境に配慮した商品を選ぶことで、社会に貢献していると感じられる」などが挙げられます。
自己実現価値: それを通じて、なりたい自分に近づけたり、自己成長を実感できたりする価値。「このオンライン講座で新しいスキルを習得し、キャリアアップに繋がった」「このカメラで自分の創造性を表現し、新たな可能性が広がった」といったものです。
お客さまがどの価値を重視するかは、その人の置かれた状況や、製品・サービスの特性、さらには時代背景によっても変化します。例えば、BtoB(企業間取引)のビジネスでは、コスト効率やROI(投資対効果)といった合理的な「機能的価値」が重視される傾向にありますが、B2C(企業対消費者取引)では、個人の感情やライフスタイルに訴えかける「情緒的価値」が購買を大きく左右することも少なくありません。
かつてのマスマーケティング時代は、良いものを作れば売れる、あるいは大量に広告を打てば認知される、という比較的シンプルな構造が機能していた側面もありました。しかし現代は、お客さまのニーズが細分化し、情報チャネルも多様化・複雑化しています。
このような時代において、Kerzeは「これが絶対に正しい価値だ」という固定観念を持つのではなく、常に「お客様は、一体何を本当に求めているのだろうか?」という問いから出発することの重要性を強調します。作り手の情熱やこだわりはもちろん尊重すべき大切なものですが、それがお客さまの求める価値と調和し、共鳴して初めて、本当に「選ばれる」商品やサービスとなるのです。
3. 「無意識の価値」に光を当てる:Kerzeが実践する、顧客理解への“没入”
多くの場合、企業や事業主の方自身が、自社の持つ「本当の価値」に気づいていない、あるいはその価値を十分に評価できていないケースに遭遇します。それは、長年当たり前のように行ってきたこと、あまりにも身近にありすぎるものほど、その希少性や特別な魅力が見えにくくなってしまうからです。
Kerzeは、この「無意識の価値」や「日常に埋もれた価値」に光を当てるために、まず徹底的に“お客さまになりきる”ことから始めます。
担当者自身が徹底的に体験する: もし私たちが、お客様の商品やサービス、あるいはその業界について全くの素人であれば、それはむしろ強みになります。先入観なく、一人の顧客として純粋に体験することで、お客様にとっては「当たり前」でも、私たちにとっては新鮮な驚きや感動、あるいは使いにくさといった「生々しい感覚」を発見できます。この「素人の目」が、新たな価値の発見に繋がることは少なくありません。
多角的な情報収集と客観的な視点: 競合他社の商品やサービスを徹底的にリサーチし、比較することで、お客様の独自性や優位性が相対的に見えてきます。また、インターネット上の口コミ、レビュー、SNSでの評判などを収集・分析することで、お客さまが実際に何を感じ、何を評価しているのか、客観的なデータを基に価値を可視化していきます。
心理学の研究によれば、人は自分の真のニーズや感情をうまく言葉で表現できないことがあると言われています。例えば、「言語隠蔽効果」と呼ばれる現象では、味や感情といった言葉にしにくい体験を無理に言語化しようとすると、かえって本質的な理解が損なわれることがあると指摘されています。また、お客さまのニーズには階層があり、特に「何となく感じているけれど、うまく言えないニーズ(暗黙知ニーズ)」や「自分でもまだ気づいていないニーズ(未知のニーズ)」は、直接的な質問だけではなかなか表面化しません。
だからこそ、Kerzeは単にお客様に「あなたの価値は何ですか?」と尋ねるだけでなく、お客様の言葉にならない想いや、お客さま自身も意識していない行動の裏にある真のニーズを、非言語的な情報(お客様の表情、声のトーン、何気ない仕草など)の観察も含めた多角的なアプローチで丁寧に汲み取ろうとします。これは、まるで宝探しのように、根気強く、そして敬意を持ってお客様と向き合うプロセスです。
4. 価値発見プロセスで大切にしたいこと:過去の経験を活かし、新たな視点を受け入れる柔軟性
この価値発見の旅路において、私たちがお客様と共に大切にしたいのは、これまでの経験や実績によって培われた知見を尊重しつつも、新しい発見や異なる視点に対してオープンであることの重要性です。
長年培ってきた経験や自信は、事業を支える上でかけがえのない財産です。しかし、時にはそれが無意識のうちに新しい可能性を見る目を曇らせてしまうこともあり得ます。市場は常に変化し、お客さまの価値観も多様化し続けています。
「昔はこれでうまくいった」という成功体験や、「うちはこうあるべきだ」という信念は、もちろん大切にすべきものです。しかし、それらに固執するのではなく、「もしかしたら、別の見方もあるかもしれない」「お客さまは、私たちが思っているのとは違う価値を感じているのかもしれない」と、一度立ち止まって考える柔軟性を持つことが、新たな価値発見への扉を開く鍵となります。Kerzeは、お客様がこれまで築き上げてきたものを最大限に尊重しながら、新しい視点を取り入れ、共に未来の価値を創造していくお手伝いをしたいと考えています。
■II. 「隠れた価値」を掘り起こす:Kerzeが実践する、体系的かつ実践的なステップと問いかけ
お客様自身の中に眠る「価値の原石」を見つけ出し、磨き上げていくプロセスは、一朝一夕に成し遂げられるものではありません。そこには、体系的なアプローチと、人間心理への深い洞察に基づいた丁寧なコミュニケーションが不可欠です。Kerzeでは、以下のステップと問いかけを通じて、お客様と共にその「隠れた価値」を掘り起こしていきます。
1. 最初の問いかけ:顧客行動の深層と、事業の“DNA”を探る旅の始まり
価値発見の初期段階では、まずお客様の事業を取り巻く現状と、その根底にある想いを多角的に把握するための問いかけから始めます。これらは、一見シンプルな問いに見えるかもしれませんが、深く掘り下げることで、これまで見過ごされてきた重要な要素が浮かび上がってくることがよくあります。
「お客様は、どのようなタイミングで、どのような理由であなたの商品やサービスを選んでくださっているのでしょうか?」
「お客様から直接お聞きした『喜びの声』の中で、特に印象に残っているものは何ですか?」
「もし、他のブランドやサービスから乗り換えてきてくださったお客様がいらっしゃるとしたら、その決め手は何だったのでしょうか?」
「事業を行う上で、最大のライバルだと認識しているのはどのような存在ですか? そして、そのライバルとの競争の中で、何を最も大切にし、どのような工夫を重ねてこられましたか?」
「この商品やサービスが生まれた背景には、どのような想いや経緯があったのでしょうか? そして、どのようなお客様に、どのような価値を届けたいと願ってこられたのですか?」
「もし、『これだけは絶対に譲れない』というものがあるとすれば、それは何ですか? それがなくなってしまったら、もはや“うちの商品・サービスではない”と言えるような、核となるものは何でしょうか?」
最後の問いは、特に重要です。これは、企業の存在意義やブランドの根幹に関わる「DNA」のようなものを見つけ出すための、核心に迫る問いかけと言えるでしょう。
2. 顧客視点の徹底的な深掘り:「誰の、どんな“お困りごと”を解決しているのか?」を本質から捉える
「価値」とは、突き詰めれば「お客さまが抱える何らかの課題を解決し、より良い状態をもたらすこと」に他なりません。そのため、お客さまを深く理解することは、価値発見の最も重要なステップの一つです。
購入の背景にある「真の動機」を探る
お客様が商品やサービスを購入する「タイミング」や「理由」を伺うことはもちろんですが、例えば催事などに出店されている場合、「どのような場所、タイミング、企画内容の催事であれば販売が好調で、逆にどのような場合に苦戦するのか」といった具体的な状況をお聞きすることで、お客さまがどのような文脈で価値を感じやすいのか、その輪郭が見えてきます。
既存顧客からのインサイト(洞察)獲得 – 多様なアプローチで本音に迫る
定性的なヒアリング(1対1のデプスインタビュー、あるいは複数人でのグループインタビューなど): 私たちは、お客様ご自身が顧客に対して抱いている「好意的な印象」や「課題感」といった主観的な情報だけでなく、顧客自身の言葉で語られる「体験」や「感情」を丁寧に拾い上げます。このプロセスでは、相手との信頼関係(ラポール)を築き、安心して本音を話せる雰囲気を作ることが何よりも重要です。
観察調査(エスノグラフィー的アプローチ): 言葉は時に、本心を隠したり、美化したりすることがあります。そこでKerzeでは、可能であれば、お客さまが実際に商品やサービスを利用しているシーンを観察させていただくことも推奨しています。録画や同行を通じて、お客さまの無意識の行動や、言葉にはならない工夫、あるいは不便そうな点などを客観的に捉えることで、アンケートやインタビューだけでは見えてこない「生きたニーズ」や、お客さま自身も気づいていない「当たり前の行動パターン(イッシュ定数とも呼ばれます)」を明らかにしていきます。これは、商品開発やサービス改善の非常に貴重なヒントとなります。
まだ見ぬ「潜在顧客」のニーズを発掘する
まずは、インターネットやSNS上に存在する、関連商品やサービスに対する「不満の声」「満たされない願望」などを徹底的にリサーチします。
次に、競合他社の商品やサービスを分析し、各社がどのような顧客層に、どのような価値を提供しているのかを整理(ポジショニング分析)します。そうすることで、まだ十分に手がつけられていない「市場の空白地帯(ブルー・オーシャン)」や、特定のニーズを持つが見過ごされている「顧客セグメント(市場の細分化されたグループ)」が見えてくることがあります。
3. 自社視点の徹底的な深掘り:「当たり前」の中にこそ眠る、独自の“お宝”を発見する
顧客視点と同時に、自社の内部に目を向けることも不可欠です。多くの場合、独自の強みや価値は、日々の業務の中で「当たり前」になってしまい、その輝きが見過ごされています。
経営資源の再評価 – VRIO分析の活用
企業の持つ経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報など)が、持続的な競争優位性を持っているかどうかを評価するフレームワークとして、VRIO分析というものがあります。これは、その資源が「経済的価値(Value)」を生み出し、「希少性(Rarity)」があり、「模倣困難性(Imitability)」が高く、そしてそれを「組織(Organization)」として有効に活用できているか、という4つの視点から分析するものです。
Kerzeでは、このVRIO分析の考え方を中小企業や地域ビジネスの文脈に合わせて応用し、例えば以下のような視点から「当たり前」の価値を再発見するお手伝いをします。
経済的価値の二重構造: 地域産品を活用することで、お客さまにとっては「安心・安全・高品質」という価値を提供しつつ、企業にとっては「原材料調達コストの削減」や「地域ブランドへの貢献」といった価値も生み出せる、といった視点です。
希少性の新たな解釈: 大企業にはない、経営者の個性や情熱、地域社会との長年にわたる信頼関係、小回りの利く生産体制なども、立派な「希少性」となり得ます。
模倣困難性の非技術的要素: 特許や特別な技術だけでなく、長年受け継がれてきた職人の技、独自の接客スタイル、地域に根差した企業文化といった「目に見えない資産」も、他社が容易には真似できない強力な模倣障壁となります。
組織の動的適応力: 大企業のような整った組織体制ではなくとも、中小企業ならではの迅速な意思決定や、部門を超えた柔軟な連携体制も、変化の激しい現代においては重要な「組織力」です。
「当たり前」を「価値」へと翻訳するお手伝い
私たちは、実際のお客さまの声や具体的な成功事例を提示することで、「皆さんが当たり前だと思っているこの点が、実はお客さまから高く評価されているのですよ」と客観的な事実に基づいてお伝えします。
また、あえて「素人としての素朴な驚き」を率直に伝えることもあります。「え、こんなことまで手作業でやっているんですか?それはすごいこだわりですね!」といった外部の人間ならではの新鮮な反応が、お客様自身に新たな気づきをもたらすことがあります。
さらに、お客様の許可を得て、お客様の周囲の方々(例えば、お客様のお客様や、取引先など)にヒアリングを行い、その結果を整理してお伝えすることで、「自分たちでは気づかなかったけれど、周りからはこんな風に見えていたのか」という発見を促します。
従業員・関係者という「内部資源」の棚卸し – チームの力を最大限に活かす
価値の源泉は、商品やサービスそのものだけではありません。それを生み出し、支えている「人」もまた、かけがえのない資産です。Kerzeでは、お客様の従業員や関係者の方々の経歴、特技、趣味、仕事への想いといった「人となり」に関する情報を丁寧に整理し、分析するお手伝いをします。
そして、それらの個々の強みや特性が、事業活動のどの部分(バリューチェーン)で活かされ、どのようにして他社との違い(競争優位性や参入障壁)を生み出しているのかを明確にしていきます。
4. 競合との比較分析:「相対的な価値」を見極め、「独自のポジション」を築く
自社の価値をより深く理解するためには、競合他社との比較が欠かせません。他者との違いを認識することで初めて、自社の「独自性」や「選ばれる理由」が明確になります。
現状分析の徹底 – 顧客の声と現場の実態から
まずは、競合他社に関するお客さまの口コミや評判を徹底的に収集・分析します。お客さまは、競合の何に満足し、何に不満を感じているのでしょうか。
また、競合がどのような事業活動(バリューチェーン)で価値を生み出しているのか、可能な範囲で調査し、自社と比較することで、強みと弱みを客観的に把握します。
ニッチな価値の発見と独自のポジション確立
市場全体を同じように捉えるのではなく、お客さまのニーズに基づいて市場を細分化(セグメンテーション)することから始めます。
その上で、自社が現在、どのお客さまセグメントに対して、どのような価値を提供できているのか(あるいは、意図せずとも結果的にそうなっているのか)という現状のポジショニングを正確に把握します。
そして、まだ競合が十分にアプローチできていない、あるいはお客さまのニーズが満たされていない「ニッチな市場」や「独自の価値提供の可能性」を見つけ出し、そこに向けて意識的に自社の強みを活かしたターゲティングとポジショニング戦略を構築していくことを目指します。例えば、長野県小布施町の「小布施堂」は、「栗」という地域資源を核に、単なる菓子製造販売にとどまらず、歴史や文化、観光体験を融合させた「栗の王国」という独自のポジションを築き、熱烈なファンを獲得しています。
■III. 「見つけた価値」をお客さまに届ける:Kerze流・共感を呼ぶ言語化とストーリーテリングの技術
丹念なリサーチと対話を通じて、お客様のビジネスに眠る「価値の原石」が見えてきました。しかし、それだけではまだ十分ではありません。その原石を磨き上げ、お客さまの心に響く「魅力的な宝石」へと変えていくプロセス、すなわち「言語化」と「ストーリーテリング」が不可欠です。
1. 「メリット」を「ベネフィット」へ、そしてお客さまが本当に求める「消費者バリュー」へ:心に響く言葉への翻訳技術
商品やサービスが持つ客観的な特徴や利点を「メリット」と呼びます。例えば、「この素材は耐久性が高い」「このシステムは処理速度が速い」といったものです。しかし、お客さまが本当に求めているのは、そのメリットの先にある「自分にとっての良いこと」、すなわち「ベネフィット」です。
Kerzeでは、この「メリット」から「ベネフィット」への翻訳を非常に重視します。
消費者行動論の知見を活用: 私たちは、お客様のターゲット顧客がどのような心理プロセスを経て購買に至るのか、どのような情報に影響を受けやすいのかといった、消費者行動論の知見を参考にします。
徹底的な顧客像の明確化: 「誰に」届けたいのか、その顧客はどんな課題を持ち、何を望んでいるのか。具体的な顧客像(ペルソナ)を詳細に設定することで、どのような言葉が響くのかが見えてきます。
「もし私がこの顧客だったら…」という視点: 常にお客さまの立場に立ち、その商品やサービスが自分の生活や仕事にどのような具体的な良い変化をもたらしてくれるのかを想像します。
さらに、私たちは「ベネフィット・ラダー」という考え方も参考にします。これは、製品の具体的な「属性(特徴)」から、それがもたらす「機能的ベネフィット(直接的な便益)」、そしてお客さまが最終的に感じる「情緒的ベネフィット(感情的な満足感)」や「自己表現ベネフィット(なりたい自分になれるという価値)」、さらにはその上位にある「消費者バリュー(人生における究極的な価値観の充足)」へと、価値の連鎖を階層的に捉えるフレームワークです。
多くの研究で、この最上位にある「消費者バリュー」に訴えかけるメッセージが、お客さまの心を最も強く動かすことが示唆されています。Kerzeは、お客様の商品やサービスが持つ価値を、この「消費者バリュー」のレベルまで引き上げ、お客さまの深層心理に響く言葉へと翻訳していくお手伝いをします。
2. 感情に訴えかける「ストーリー」の力:データと事例が証明する、心を掴むコミュニケーション
単なる機能やスペックの羅列だけでは、現代の消費者の心にはなかなか響きません。情報が溢れる今だからこそ、人の感情に訴えかけ、記憶に深く刻まれる「ストーリー」の力がますます重要になっています。
ストーリーが持つ、科学的に裏付けられた効果
脳の同期と共感(ニューロカップリング): 神経科学者ウリ・ハッソン氏の研究によれば、ストーリーを聞いている時、語り手と聞き手の脳の特定領域が同期するように活動することが分かっています。これにより、聞き手は物語が伝える感情やアイデアを、まるで自分の体験のように深く理解し、共感するのです。
感情を動かす神経伝達物質の放出: 感動的なエピソードや心温まる物語に触れると、私たちの脳内ではドーパミン(快感やモチベーションに関わる)やオキシトシン(信頼や絆の形成に関わる)といった神経伝達物質が放出されると言われています。これにより、ストーリーは聞き手の感情を揺さぶり、強い印象を残します。
記憶への定着効果の向上: スタンフォード大学の研究によれば、単なる統計データは5~10%程度しか記憶に残らないのに対し、そのデータをストーリーと組み合わせることで、記憶の保持率は60~70%にまで劇的に上昇すると言われています。また、物語は単なる事実よりも22倍も記憶に残りやすいという研究結果も報告されており、ブランドやメッセージの想起率向上に直接的に貢献します。
ストーリーがビジネスにもたらす具体的な成果
コンバージョン率の向上: 効果的なストーリーテリングは、ウェブサイトなどでのコンバージョン率を最大30%向上させる可能性があると指摘されています。
製品価値認識の向上: ある実験では、平凡な品物でも、それにまつわるストーリーを付加することで、その認識価値が大幅に(ある事例では2700%以上も)増加したという結果が出ています。
信頼とブランドへの愛着の醸成: ブランドストーリーは、お客さまとの信頼関係を築き、ブランドへの愛着を深める上で重要な役割を果たします。消費者の多くが「信頼できるブランドからのみ購入したい」と考えている現代において、感情的な繋がりは不可欠です。
購買意思決定への影響: 多くの消費者が、ブランドのストーリーが自身の購買決定に影響を与えると回答しています。
共感を呼ぶストーリーを構築するための要素
では、どのようなストーリーが人の心を動かすのでしょうか。効果的なストーリーには、いくつかの共通する要素があります。
共感を呼ぶ主人公: お客さま自身が投影できるような人物、あるいはブランドの創業者や開発者など、感情移入しやすい主人公。
葛藤や課題: 主人公が直面する困難や、乗り越えるべき問題。
解決への道のり: その課題をどのように克服し、解決へと導いたのか、そのプロセスと創意工夫。
教訓やメッセージ: ストーリーを通じて伝えたい、ブランドの価値観やお客さまへの約束。
これらの要素を組み合わせ、あなたの商品やサービスが生まれた背景、開発者の情熱、お客さまが抱える課題への真摯な取り組みなどを物語として語ることで、単なる「モノ」や「サービス」を超えた価値をお客さまに届けることができるのです。
3. Instagram発信の極意:「内輪の言葉」からの脱却と、「伝わる」ストーリーの表現
素晴らしい価値を発見し、感動的なストーリーを紡ぎだしたとしても、それがお客さまに理解されなければ意味がありません。特に、専門性の高い分野や、作り手の想いが強い商品・サービスほど、つい「内輪の言葉」で語ってしまいがちです。
「内輪の言葉」が引き起こすコミュニケーションエラー
「内輪の言葉」とは、業界用語、専門用語、社内だけで通用する略語など、特定のグループ内では効率的なコミュニケーションを可能にする一方で、グループ外の人にとっては理解が難しく、時には誤解や疎外感さえ与えてしまう言葉のことです。
お客さまは、理解できない言葉に直面すると、「企業が何かを隠しているのではないか」「自分は軽視されているのではないか」と感じてしまう傾向があるという指摘もあります。特にInstagramのような、多くの人が気軽に情報を得るプラットフォームにおいては、専門用語の多用は致命的です。それは、お客さまとの間に見えない壁を作り、エンゲージメントを著しく低下させ、最悪の場合、お客さま離れを引き起こす原因にもなりかねません。
Kerzeが推奨する「伝わる」コミュニケーションのポイント
徹底的なお客さま目線での言葉選び
常に「この言葉は、うちの商品や業界のことを全く知らない人にも伝わるだろうか?」という視点を持つことが重要です。
「メリット」を「ベネフィット」に翻訳する
商品の機能や特徴(メリット)を説明するだけでなく、それがお客さまの生活や仕事にどのような具体的な良い変化(ベネフィット)をもたらすのかを、お客さま自身の言葉で語りかけるように伝えます。
ストーリーを具体的なシーンで描写する
発見した価値やストーリーを、Instagramの投稿で表現する際には、単に文章で説明するだけでなく、写真や動画、リールといったビジュアルを効果的に活用し、お客さまがその価値を「体験」できるような具体的なシーンを描写することが効果的です。例えば、商品を使っている人の笑顔、商品が生まれた背景にある美しい風景、開発者の真剣な眼差しなど、感情に訴えかけるビジュアルは、言葉以上に多くのことを伝えます。
専門用語は避けるか、分かりやすく言い換える
どうしても専門用語を使わなければならない場合は、必ず注釈をつけたり、平易な言葉で言い換えたりする配慮が必要です。
UXライティングの考え方も参考に
UXライティングとは、ユーザーがサービスをスムーズに、そして心地よく利用できるように、言葉でサポートする技術です。Instagramのキャプションやプロフィール文、ストーリーズのテキストなども、このUXライティングの視点を取り入れ、「分かりやすさ」「親しみやすさ」「行動の促し」を意識することで、格段に伝わりやすくなります。
Kerzeでは、お客様が見つけ出した「価値」や「ストーリー」が、決して「内輪の自己満足」で終わることなく、しっかりとお客さまの心に届き、行動を促すものとなるよう、この「翻訳」と「表現」のプロセスを徹底的にサポートします。
■IV. Kerzeの役割:「伴走者」として、クライアントの「価値発見力」そのものを育む
これまで、お客さまに選ばれる「価値」を発見し、それを魅力的な言葉やストーリーへと昇華させるための考え方やアプローチについてお伝えしてきました。しかし、これらのプロセスは、専門的な知識やフレームワークをただ当てはめればうまくいくというものではありません。そこには、お客様自身の深い内省と、それを引き出し、整理し、形にしていくための「触媒」となる存在が不可欠です。
私たち株式会社Kerzeは、この「価値発見」のプロセスにおいて、単なるコンサルタントやアドバイザーという立場を超え、お客様と同じ目標を見つめ、共に汗を流し、共に悩み、そして共に喜びを分かち合う「伴走者」でありたいと考えています。
1. Kerzeの伴走スタイル:冷静な“第三者の目”と、温かい“共感の心”、そして的確な“羅針盤”
お客様が自社の価値を発見し、それをお客さまに届ける旅路において、Kerzeは主に以下の3つの役割を担います。
現象のフラットな伝達(冷静な“第三者の目”)
長年その事業に携わっていると、どうしても見慣れた景色となり、客観的な視点を持ちにくくなることがあります。私たちは、あえて外部の人間として、先入観を持たずに現状を観察し、「お客様の事業は、外部からはこのように見えていますよ」「お客さまは、このような点に価値を感じている(あるいは、不満を抱いている)可能性がありますよ」といった事実を、データやヒアリングに基づいて冷静にお伝えします。時には、お客様にとっては耳の痛い情報もあるかもしれませんが、それこそが本質的な課題解決への第一歩となると信じています。
プロセスのガイド(的確な“羅針盤”)
価値発見のプロセスは、時に霧の中を手探りで進むようなものです。どこから手をつければいいのか、どのような情報を集めればいいのか、そして集めた情報をどう分析し、結論を導き出せばいいのか。私たちは、これまで培ってきた知見やフレームワーク(VRIO分析、ベネフィット・ラダー、カスタマージャーニー分析など)を活用しながら、お客様が迷うことなく、効率的に価値発見のプロセスを進められるよう、的確な道筋を示し、ナビゲートします。
情報の体系化と言語化支援(温かい“共感の心”を持った“翻訳者”)
お客様の中から溢れ出てくる想いや、お客さまから寄せられる多様な声、そして複雑な市場データ。これらの断片的な情報を丁寧に拾い集め、整理し、そこから本質的な価値の核となるものを見つけ出し、お客さまに響く言葉やストーリーへと「翻訳」していく作業を、お客様と二人三脚で徹底的に行います。私たちは、お客様の情熱やこだわりに深く共感し、それを最大限に活かせる表現を追求します。
2. 「対話」で引き出す、言葉にならない想い:Kerzeが実践する問いかけ
Kerzeの支援の中心には、常にお客様との「対話」があります。私たちは、一方的に答えを提示するのではなく、お客様自身の中に眠る答えを引き出すことを何よりも大切にしています。
「言葉が語られないことを当たり前と思う」スタンス
お客様自身も、自社の本当の価値や、お客さまが潜在的に抱えるニーズを、明確な言葉で表現できるとは限りません。むしろ、言語化されていない「暗黙知」や、意識されていない「当たり前」の中にこそ、本質的な価値が隠されていることが多いのです。心理学における「言語隠蔽効果」が示唆するように、無理に言葉にしようとすることで、かえって本質が見えにくくなることさえあります。
だからこそ私たちは、「お客様はまだ言葉にできていないだけ」「もっと深いところに本音があるはずだ」という前提に立ち、焦らず、根気強く、お客様の心の奥にある想いに耳を傾けます。
多角的な問いかけの繰り返し – “ダブルループ学習”による本質への到達
表面的な課題や現象(シングルループ学習)に囚われることなく、その背景にある根本的な原因や、より上位の目的・価値観にまで思考を深めていく「ダブルループ学習」を促すために、私たちは様々な角度から問いを重ねていきます。
「なぜ、そうお考えになるのですか?」
「その背景には、どのような経験や想いがあるのでしょうか?」
「もし、〇〇という制約がなかったとしたら、本当は何を実現したいですか?」
「お客様のお客様は、最終的に何を手に入れたいと願っているのでしょうか?」
このような問いかけは、時に内省を促し、これまで気づかなかった視点や、大切にしたい価値観を再発見するきっかけとなります。それは、単に情報を引き出すための尋問ではなく、お客様自身が内なる声に気づき、自ら答えを見つけ出すための、創造的な共同作業なのです。
3. 価値発見プロセスがもたらす、クライアントの“進化”と“自走”
Kerzeが目指すのは、単に「価値を発見して終わり」ではありません。このプロセスを通じて、お客様自身が、
自社の事業や顧客を、より深く、多角的に理解できるようになること。
自身の感覚や経験だけでなく、客観的なデータやお客さまの声に基づいて、冷静に意思決定ができるようになること。
そして何よりも、自社の「真の価値」に自信を持ち、それを自らの言葉で力強く語り、お客さまに届け、そして成果に繋げていく「価値発見力」そのものを身につけること。
です。
私たちは、お客様が私たちの支援なしでも、継続的に価値を創造し、変化に対応しながら成長していける「自走できる組織」となることを心から願っています。そのための視点や具体的な手法、そして何よりも「本質を問い続ける姿勢」を共有していくことが、私たちの伴走者としての大きな役割だと考えています。
■結論:あなたのビジネスに眠る「真の価値」を掘り起こし、選ばれる理由を、私たちと一緒に創りませんか?
「うちの商品・サービスの本当の魅力は何だろう?」
この問いに、明確な答えを見つけることは、決して簡単なことではありません。しかし、その答えは、必ずあなたの中に、そしてあなたのお客さまの中に存在しています。
この記事でお伝えしてきたように、「本質的な価値」は、企業が一方的に定義するものではなく、お客さまが何を求め、何に満足を感じるかという視点に立って初めて明らかになります。そして、その価値は、機能的な便益だけでなく、感情的な満足、社会的な意義、あるいは自己実現といった、より深いレベルでお客さまの心と結びつくものです。
Kerzeが提唱する「価値発見の技術」は、ベネフィット・ラダーやVRIO分析といったフレームワーク思考、ストーリーテリングの科学、そして「内輪の言葉」を避けるお客さま中心のコミュニケーション、さらには言葉にならない想いを汲み取る深層心理への洞察など、多岐にわたる知見と実践的なアプローチを融合させたものです。
しかし、最も大切なのは、これらの手法を駆使すること以上に、お客様のビジネスに真摯に向き合い、その可能性を信じ、共に汗を流す「伴走者」として、信頼関係を築きながら、一緒に答えを探し続ける姿勢です。
「当たり前」だと思っていたことの中に、まだ光の当たっていない「特別な価値」が眠っているかもしれません。
「言葉にならない想い」の奥に、お客さまを熱狂させる「感動のストーリー」が隠れているかもしれません。
私たち株式会社Kerzeは、その「価値発見の旅」の、信頼できるパートナーでありたいと願っています。
あなたのビジネスが持つ独自の輝きを、私たちと一緒に見つけ出し、それをお客さまに届け、そして確かな成果へと繋げていきませんか?
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