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Instagramのフォロワー、本当に「成果」に繋がっていますか? ~見せかけの数字に惑わされず、本質的な成長を実現する目標設定の技術~

「Instagram投稿を毎日頑張っているけれど、お店の売上にはあまり変化がない…」

「フォロワーは増えたけど、これが本当にInstagram運用の成功なの…?」

「Instagramにかけた時間と労力、事業の成長にどう役立っているのか具体的に知りたい…」


もし、あなたがInstagram運用において、このような「もどかしさ」や「疑問」を感じているなら、少しだけ私たち株式会社Kerze(ケルツェ)の「目標設定」に関する考え方にお付き合いいただけないでしょうか。


私たちは、Instagram運用支援も得意としていますが、お客様からご相談をいただいた際に、すぐに「では、フォロワーを増やしましょう」とご提案するとは限りません。


なぜなら、私たちはお客様の事業全体の「仕組み」と「本来の目的」を深く理解することを何よりも大切にしているからです。その上で、Instagramというプラットフォームがお客様の目的達成のために「今、本当に最適なのか」「具体的にどう活用すべきなのか」を丁寧に見極めます。Instagram運用は、あくまで広範なマーケティング戦略の一部分であり、その効果を最大限に引き出すためには、事業全体の目標とのしっかりとした連携が不可欠なのです。


今回は、特にInstagram運用において陥りがちな「フォロワー数という指標の罠」と、私たちが考える「本質的な成果に繋がる目標設定の秘訣」について、具体的な調査結果なども交えながら、分かりやすく解説していきます。


なお、Instagram運用を含む個別の施策の前提となる、事業全体の戦略設計や仕組みづくりにご関心のある方は、ぜひこちらの記事も合わせてご覧ください。そこでは、私たちがなぜ「特定の手段“だけ”」という考え方をしないのか、その背景にある事業や組織運営全体の「仕組み(構造)」と、成果を生み出すための「成長の設計図」について詳しくお伝えしています。




■第1章:Instagramの「フォロワー数」 – なぜ私たちはこの数字に惹かれるのか?


Instagramマーケティングにおいて、「フォロワー数」は、誰もが一度は気にする指標ではないでしょうか。その理由はシンプルです。

  • 見た目で分かりやすい成長実感: 数字が増えれば、「うまくいっている」と感じやすい。

  • 比べやすい: 競合アカウントや業界の平均と、つい比べてしまう。

  • 目標にしやすい: 「フォロワー1万人!」といった目標は、具体的で魅力的。

  • 社内外へのアピール力: 活動の成果として、経営層や関係者に示しやすい。

確かに、Instagramのフォロワーが増えれば、あなたのアカウントの投稿がより多くの人の目に触れる機会(リーチ)が増え、ブランドの認知度向上に繋がる可能性はあります。フォロワーの成長率を分析することで、オーディエンスの関心度やコンテンツ戦略の評価にも役立つでしょう。特に、アカウントを立ち上げたばかりの時期や、まずは広く名前を知ってもらいたいという段階では、フォロワー数は一つの目安となるかもしれません。


若年層には「信頼の証」? フォロワー数の影響力

THECOO株式会社の調査によれば、特に10代・20代の若年層は、インフルエンサーのPR投稿を見た際に、その情報の信頼性を判断する上でフォロワー数を参考にしている傾向が見られました。これは、若い世代の消費行動において、フォロワー数が一定の影響力を持っていることを示唆しています。

しかし、この「分かりやすさ」や一部の層への影響力だけで、フォロワー数を絶対的な成功指標と見なしてしまって良いのでしょうか?


■第2章:フォロワー数と「本当の成果」のギャップ – データが示す厳しい現実

「Instagramのフォロワー数は、あなたが稼ぐ能力とは全く関係ありません」

これは、あるビジネスSNSユーザーの強い意見ですが、残念ながら多くのデータがこの言葉を裏付けています。


フォロワー数が多くても、エンゲージメントが低い?

Wies氏、Bleier氏、Edeling氏による学術研究では、驚くべき結果が示されています。インフルエンサーのフォロワー数と、その人が宣伝するコンテンツへのエンゲージメント(いいね!やコメントなどの反応)には、「逆U字型の関係」があるというのです。つまり、フォロワー数が増えるにつれてエンゲージメントはある時点まで高まりますが、ある一定のラインを超えると、むしろエンゲージメントは低下していく傾向にあるというのです。フォロワーが多いことは幅広いリーチを意味する一方で、個々のフォロワーとの繋がりが薄まり、結果として反応率が下がってしまう可能性を示唆しています。


この現象は、多くのビジネスにとって重要な示唆を与えます。「フォロワーが多ければ収益も上がるのか?」という問いに対して、専門家は「NO」と答えています。現代のInstagramにおける成功は、フォロワー数だけでなく、エンゲージメントの質、コンテンツ戦略、コミュニティとの交流、そして賢明な収益化戦略など、多くの要素が複雑に絡み合って決まるのです。


■第3章:「質の高いフォロワー」と「数だけのフォロワー」– その決定的な違いとは?

Instagram戦略を考える上で、「フォロワーの質」と「フォロワーの量(数)」の違いを理解することは非常に重要です。


「質の高いフォロワー」とは? その価値は?

質の高いフォロワーとは、一言で言えば、あなたのアカウントやブランドの「真のファン」です。具体的には、

  • あなたの商品やサービス、発信する情報に高い興味・関心を持っている。

  • 投稿に対して「いいね!」やコメント、保存、シェアといった積極的な反応をしてくれる。

  • 将来的には、あなたの顧客になってくれる可能性が高い


このようなフォロワーは、あなたのアカウントに対する関心が高く、投稿内容への反応率も高い傾向にあります。日々のコミュニケーションを通じて親密度も高まり、あなたが紹介する商品やサービスを自然と受け入れてくれる良好な関係性が築かれています。そのため、フォロワーの質が高ければ、Instagram運用の本来の目的である「自社商品の購入への誘導」や「見込み客から顧客への育成」が格段に行いやすくなるのです。


Instagram運用で「質の高いフォロワー」が多いことのメリット

  • エンゲージメント率の向上: 投稿への反応が増え、アカウントの評価が高まります。

  • フィード投稿の表示頻度アップ: Instagramのアルゴリズムに好まれ、より多くのフォロワーに投稿が届きやすくなります。

  • コンバージョン率(購入や問い合わせなど)の向上: 興味関心の高いフォロワーは、実際の行動に移りやすい傾向があります。

  • リピート率の向上による売上の安定: 長期的な顧客となり、安定した収益に繋がる可能性があります。


「質の低いフォロワー」とは? なぜ問題なのか?

一方、「質の低いフォロワー」とは、どのようなユーザーを指すのでしょうか。

  • たまたま一つの動画が気に入ってフォローしただけで、継続的な関心はないユーザー

  • 「フォローバック(相互フォロー)」だけが目的のユーザー(フォロー返しがなければ、すぐに離れていく)

  • 競合他社など、調査目的でフォローしているアカウント

  • プレゼントキャンペーンなど、無料の特典だけが目的のユーザー

これらのフォロワーは、あなたの商品やサービスを購入したり、ブランドのファンになったりする可能性が低いため、単にフォロワー数を増やしただけでは、ビジネス上の意味はほとんどありません。投稿内容に元々興味がないため、資料請求やサービスの申し込みといった具体的な行動(コンバージョン)に繋がることは期待しにくいでしょう。


さらに深刻な「偽フォロワー(フェイクフォロワー)」の問題

より深刻な問題として、「偽フォロワー」の存在があります。これらは、フォロワー数を人為的に増やすためだけに作られた、実態のないソーシャルメディアアカウントで、「ボット」とも呼ばれます。このような偽フォロワーを抱えることは、

  • 信頼性の失墜

  • エンゲージメント率の大幅な低下

  • オーディエンス分析の妨げ(正確なデータが取れない)

  • 長期的な成長の阻害

  • ネガティブなブランドイメージの定着

    といった、深刻な悪影響をもたらす可能性があります。


■第4章:「バニティメトリクス(虚栄の指標)」の罠 – 見せかけの数字に惑わされないために

効果的なInstagram戦略を立てる上で、「バニティメトリクス(虚栄の指標)」という概念を理解することは不可欠です。


バニティメトリクスとは何か?

バニティメトリクスとは、測定可能ではあるものの、実際の利益や売上に直接結びつかない指標のことです。行動に繋がるKPI(重要業績評価指標)とは異なり、バニティメトリクスはビジネス上の重要な意思決定の根拠とすべきではありません。


Instagramにおけるバニティメトリクスの例

  • フォロワー数(今回の主要テーマです)

  • 投稿の「いいね!」の総数(エンゲージメント率ではなく、単なる総数)

  • 動画の総再生回数(視聴完了率やエンゲージメントを伴わない場合)

  • プロフィールの閲覧数(その後の行動に繋がらない場合)


バニティメトリクスが企業に与えるマイナスの影響

バニティメトリクスが問題となる主な理由は以下の通りです。

  1. 操作が容易であること: 誰でも簡単にお金でInstagramのフォロワーを購入することが可能です。一夜にしてフォロワー数を数万単位で増やすこともできますが、それで利益が増加することはまずありません。

  2. 投資対効果(ROI)を示さないこと: 例えば、広告で投稿の「いいね!」を1万件集めたとしても、その数字だけでは、その広告をクリックした人数や、実際に商品を購入した人数は分かりません。つまり、実際のビジネス成果との関連性が非常に曖昧なのです。

  3. 意思決定を誤らせる可能性があること: バニティメトリクスは、本質的な成果指標よりも早く、そして簡単に手に入るため、つい注目してしまいがちです。しかし、それは「うまくいっている」という誤った安心感を生み出し、本当に改善すべき点を見えにくくしてしまう可能性があります。重要なのは、「行動に繋がる指標」であり、それこそが収益や利益といった具体的なビジネス成果に繋がるのです。


■第5章:「フォロワー数」の呪縛から逃れ、本質的な成果を出すために~ビジネスの目的から逆算する、Instagramの戦略的なKPI設計と実践のポイント~


では、フォロワー数という「見せかけの数字」に惑わされず、Instagram運用で本質的な成果を出すためには、どのように目標を設定し、何を測っていくべきなのでしょうか。その鍵は、あなたのビジネス全体の「目的」と、Instagramで追いかけるべき「指標(KPI)」を戦略的に連携させることにあります。


1. すべての活動は「最終ゴール(KGI)」のために

Instagram運用は、それ自体が目的であってはなりません。あなたの企業が達成したい最終的なビジネス目標(KGI:Key Goal Indicator/重要目標達成指標)、例えば「年間の売上〇〇円達成」「新規顧客獲得数〇〇人」「ブランド認知度〇%向上」などから、段階的に落とし込んでInstagramのKPIを設定するべきです。このKGIが明確でなければ、日々のInstagram活動がどのような成果に貢献しているのかが見えにくく、的外れなものになる可能性があります。


2. 「KGI」から「KPI」、そして日々の「KAI」へ:目標の階層構造を意識する

効果的な目標管理のためには、目標を階層的に捉えることが重要です。


  • KGI(Key Goal Indicator/重要目標達成指標): 事業全体の最終的な目標。

  • KPI(Key Performance Indicator/重要業績評価指標): KGIを達成するための中間的な目標であり、Instagram運用の進捗を測るための具体的な指標。例:Instagram経由での月間ウェブサイトアクセス数、月間エンゲージメント数、ストーリーズからの問い合わせ数など。

  • KAI(Key Action Indicator/重要行動指標): KPIを達成するために行うべき具体的な行動や活動量を示す指標。例:週に5回の質の高いフィード投稿、毎日10件のストーリーズ投稿、月に1回Instagramライブを実施など。


このように、最終的なゴールであるKGIを頂点とし、それを達成するための中間目標であるKPIを設定し、さらにKPIを達成するための日々の具体的な行動指標であるKAIへと落とし込んでいくことで、Instagram運用が事業目標達成に向けて一貫性を持って推進されるようになります。


フォロワー数の増加も、KPIの一部として意味を持つ場合はありますが、それが最終的なKGIにどう貢献するのか、という視点が常に不可欠です。


3. Instagramにおける「カスタマージャーニー」の各段階に合わせた指標を選ぶ


お客様があなたの製品やサービスをInstagram上で知り(認知)、興味を持ち(興味・関心)、詳細を調べ(比較・検討)、購入を決め(購買)、そして繰り返しあなたのコンテンツを見てくれるファンになる(継続・推奨)までの一連のプロセスを「カスタマージャーニー」と呼びます。この各段階において、注目すべきInstagramの指標は異なります。

  • 認知段階 (Awareness): まずはブランドの存在を知ってもらうことが大切です。

    • 注目すべきKPI例: リーチ数(投稿が届いた人の数)、インプレッション数(投稿が表示された回数)、フォロワー増加「率」、プロフィールアクセス数、ハッシュタグ検索での表示回数など。

  • 興味・関心段階 (Interest/Consideration): ブランドや製品への関心をより深めてもらう段階です。

    • 注目すべきKPI例: エンゲージメント率(投稿へのいいね、コメント、シェア、保存)、リールの視聴完了率、ストーリーズの閲覧数・リアクション数、ウェブサイトクリック数(CTR)など。

  • 比較・購買段階 (Conversion/Purchase): 具体的な行動(購入、問い合わせ、資料請求など)を促すことが目標です。

    • 注目すべきKPI例: Instagramショッピング経由の売上、商品タグのクリック数、DMでの問い合わせ数、キャンペーンへの参加数、ウェブサイトでのコンバージョン率(Instagram経由)など。

  • 継続・推奨段階 (Loyalty/Advocacy): 顧客との長期的な関係を築き、熱心なファンになってもらうことを目指します。

    • 注目すべきKPI例: 既存フォロワーのエンゲージメント維持率、UGC(ユーザーが作成したブランドに関する投稿)の投稿数、ブランドに関する好意的なコメントやDMの数、リピート購入率(Instagram経由が特定できれば)など。

このように、カスタマージャーニーの各段階で適切なKPIを設定し、それらを総合的に分析することで、Instagram戦略全体の効果をより正確に、かつ多角的に把握することができます。


4. 「診断」から始めるデータ駆動型の改善サイクル

効果的なInstagram戦略を構築し、継続的に改善していくためには、まず現状を正確に「診断」することが不可欠です。

  • Instagramインサイトの徹底活用: フォロワーの属性(年齢、性別、地域など)、アクティブな時間帯、投稿ごとのパフォーマンス(リーチ、エンゲージメント、保存数など)を詳細に分析します。

  • エンゲージメントとコンテンツの関連性分析: どのような種類の投稿(写真、動画、リール、カルーセル、ストーリーズなど)、どのようなテーマのコンテンツが、高いエンゲージメントを獲得しているかを具体的に特定します。

  • ハッシュタグ戦略の評価と改善: 使用しているハッシュタグが、ターゲット層へのリーチやエンゲージメント向上に本当に貢献しているかを定期的に分析し、最適化を図ります。

このような診断に基づいて、データに基づいた戦略を立て、設定したKPIを定期的にモニタリングし、その結果を元に戦略を改善していく「PDCAサイクル(計画→実行→評価→改善)」を回していくことが、Instagram運用の成果を最大化する上で非常に重要です。


■結論:フォロワー数の“呪縛”から解き放たれ、確かな手応えのあるInstagram運用で、真の成長軌道を描くために


Instagramマーケティングにおける「フォロワー数」は、使い方によっては有効な指標の一つとなり得ますが、それ自体が最終目的ではありません。この記事を通じて、フォロワー数が絶対的な成功指標ではなく、あくまで数ある指標の一つに過ぎないこと、そしてそれを盲信し、最終目的とすることの危険性をご理解いただけたのではないでしょうか。


中小企業の経営者やマーケティング責任者の皆様には、ぜひ「フォロワー数という幻想」から一歩踏み出し、自社のビジネス目標に真に貢献するKPI(エンゲージメント率、コンバージョン率、質の高いリードの獲得、顧客生涯価値など)を見極め、戦略的なInstagram運用へと舵を切っていただきたいと心から願っています。


それは、日々の努力が「正しい方向に向かっている」という確かな手応えをもたらし、見せかけの数字に一喜一憂することなく、持続的な事業成長という本質的な成果へと繋がる、確かな道となるはずです。

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